MURDER IN THE FIRST
原題:MURDER IN THE FIRST
日本公開:1995年04月22日
製作国:アメリカ
言語:英語
画面:ビスタ・サイズ
音響:ドルビーSR方式
上映時間:123分
配給:東宝東和

【スタッフ】
監督:マーク・ロッコ
製作:マーク・フリードマン
   マーク・ウォルパー
脚本:ダン・ゴードン
製作総指揮:デヴィッド・L・ウォルパー
      マーク・ロッコ
撮影監督:フレッド・マーフィー
プロダクション・デザイン:カーク・M・ペトルッチェリ
編集:ラッセル・リビングストーン
衣裳:シルヴィア・ベガバスケス
共同製作:デボラ・リー
音楽:クリストファー・ヤング

【キャスト】
ジェームズ・スタンフィル:クリスチャン・スレーター
ヘンリー・ヤング:ケヴィン・ベーコン
ミルトン・グレン(副刑務所長):ゲイリー・オールドマン
メアリー・マッカースリン:エンベス・デイヴィッツ
ウィリアム・マクニール:ウィリアム・H・メイシー
ヘンキン:スティーヴン・トボロウスキー
バイロン・スタンフィル:ブラッド・ダリフ
クラウソン判事:R・リー・アーメイ
ロゼッタ・ヤング:ミア・カーシュナー
ジェリィ・フーリハン:ベン・スラック
ハムソン刑務所長:ステファン・ギーラッシュ
ブランチ:キーラ・セジウィック
マイク・ケリー:ハーブ・リッツ

【ストーリー】
 1930年代後半、サンフランシスコ。将来を約束された若きエリート弁護士ジェームズ・スタンフィルの初仕事は、全米一凶悪と言われるアルカトラズ刑務所内で起きた殺人事件だった。25年の刑に服役中のヘンリー・ヤングという若い囚人が、脱獄計画を密告した仲間を殺害――ヘンリーの死刑はほぼ確実であり、この勝ち目のない裁判でジェームズが事務所から期待されているのはさっさと仕事を終わらせることだけだった。
 ジェームズはヘンリーに面会するが、極度のショック状態から口をきくこともできず、脅えきって魂の抜け殻のようになった痛々しい彼の姿はジェームズの心をうつ。15才の時、腹をすかせた妹のために郵便局から5ドルを盗んだヘンリー。だが、連邦法によって、郵便局に対する犯罪には重罪が科される。このためヘンリーはたった5ドルのために25年もの刑を受けることになったのである。彼は本当に凶悪な殺人犯なのか? 疑念を抱いたジェームズは、上司の反対を無視し、この事件にのめりこんでいく。
 ジェームズの度々の訪問に、ヘンリーは次第に心を開き、言葉を取り戻し始めたが、事件のことには触れたがらない。だが、彼の発するたどたどしい言葉の端々から、アルカトラズでの悪夢のような日々が明かされていく。劣悪な環境や副刑務所長グレンの残忍な拷問に耐え切れず、脱獄を企てたヘンリーは、仲間の裏切りによって狭く、寒く、一条の光すらない地下牢に裸のままで投げ込まれる。トイレも水道もなく、1日1回の食事だけが外界との接点という生活の中で、彼は人間としての感情や感覚を失っていく。想像を絶するこの地獄から解放された時、すでに3年の月日が流れていた。3年ぶりの光の中で、ヘンリーはかつて自分を裏切った仲間をみつけ、衝動的に手にしたスプーンで彼を刺した。全ては悪夢の中の出来事であり、ヘンリーは自分が何をしているのかさえ理解していなかったのだ。戦慄すべき真相にジェームズは激しい憤りを感じ、ヘンリーを救うためにこの望みのない裁判を闘い抜く決意をする。

 裁判が始まった。ジェームズは、非人道的なアルカトラズ刑務所での歳月がヘンリーに殺人を犯させたのであり、その罪は副刑務所長グレンとアルカトラズ刑務所そのものにあると、ヘンリーの無罪を主張。逆にアルカトラズ刑務所を告発する。それはアメリカの司法制度、ひいては合衆国政府に対する挑戦を意味していた。法廷は騒然となり、この衝撃は瞬く間に全米に広がった。
 敵はあまりにも巨大だった。2人の若者に様々な圧力や妨害がふりかかり、周りの人間は彼らとかかわりあうのを恐れた。有力な弁護士である兄のバイロンや、ジェームズの勤務する事務所もまた、例外ではなく、事務所の同僚である恋人メアリーですらも彼のもとを去っていく。アルカトラズへの怒り、ヘンリーを救いたいという信念だけがジェームズを支えていた。そして、絶望の日々の中で明日を信じることを忘れていたヘンリーにとって、ジェームズだけが彼に残された最後の生きる希望だった。あまりにも境遇の違う2人の間に、いつしか立場を越えた不思議な友情と強い絆が生まれていた。

 ヘンリーとジェームズに有利な証拠や証言は、目に見えない大きな力によって次々と覆されていく。いよいよ最終公判。ジェームズは最後の手段としてヘンリー自身を証人として召喚する。ヘンリーの証言――それは、ジェームズですら予想もしなかった驚くべき内容だった…。