CHANGELING
原題:CHANGELING
日本公開:2009年02月20日
製作国:アメリカ
言語:英語
画面:スコープサイズ
音響:ドルビーSRD
上映時間:142分
年齢制限:PG-12
配給:東宝東和

【スタッフ】
監督:クリント・イーストウッド
製作:クリント・イーストウッド
   ブライアン・グレイザー
   ロン・ハワード
   ロバート・ロレンツ
製作総指揮:ティム・ムーア
      ジム・ウィテカー
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
撮影監督:トム・スターン
プロダクション・デザイン:ジェームズ・J・ムラカミ
編集:ジョエル・コックス
   ゲイリー・D・ローチ
衣装デザイン:デボラ・ホッパー
音楽:クリント・イーストウッド

【キャスト】
クリスティン・コリンズ:アンジェリーナ・ジョリー
グスタヴ・ブリーグレブ牧師:ジョン・マルコヴィッチ
J・J・ジョーンズ警部:ジェフリー・ドノヴァン
ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長:コルム・フィオール
ゴードン・ノースコット:ジェイソン・バトラー・ハーナー
キャロル・デクスター:エイミー・ライアン
レスター・ヤバラ刑事:マイケル・ケリー
ウォルター・コリンズ:ガトリン・グリフィス
アーサー・ハッチンズ:デヴォン・コンティ
S.S.ハーン弁護士:ジェフ・ピアソン
サンフォード・クラーク:エディ・オルダーソン
ジョナサン・スティール:デニス・オヘア

【ストーリー】
 クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)は、9歳の息子ウォルター(ガトリン・グリフィス)と共にロサンゼルス郊外で暮らすシングル・マザー。電話会社に勤めながら女手ひとつで子供を育てていく生活は、決して楽なものではなかったが、父親の顔を知らないウォルターに辛い思いをさせまいとするクリスティンは、多忙な日々の中で懸命に母親と父親の2役をこなした。そんな彼女にとって、ウォルターは生き甲斐であり、彼の成長を見守ることは唯一の楽しみだった。だが、その幸せは、あるとき唐突に終わりを告げる。

【1928年3月10日】
 同僚の頼みで休日に出勤することになったクリスティンは、ウォルターをひとり家に残すことに後ろめたさを感じながら、会社に出かけていった。夕方、大急ぎで帰宅した彼女を待ち受けていたのは、空っぽの家――。クリスティンは近所を必死に探しまわったが、ウォルターの姿はどこにもない。その晩、彼女は心配でまんじりともできない一夜を過ごした。翌日から警察の捜査が始まった。しかし有力な手がかりはなく、誘拐か家出かの判別もつかないまま時だけが無情に過ぎていく。クリスティンは仕事を続けながら、全米各地の行方不明者相談所に電話をかけ、ウォルターの消息を尋ねる努力を重ねた。

【発見】
 事件が思いがけない進展を見せたのは、5ヵ月後。ロサンゼルス市警青少年課のジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)から、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報がもたらされたのだ。喜びに震えながら職場の同僚と抱き合うクリスティン。そしていよいよ、ウォルターが列車でロサンゼルスに帰って来る日がやって来た。ロサンゼルス市警は、本部長のデイヴィス(コルム・フィオール)の肝いりで母子対面のセレモニーをセッティングし、駅には多くの報道陣が詰めかけた。その演出の派手さに戸惑いながらも、クリスティンは我が子を迎えるためにプラットホームに駆け出していく。しかし、列車から降り立った少年の姿を見たとたん、彼女は凍りついた。
 「あの子は私の息子じゃない」。それは、母親なら誰もが一瞬にして気づく「事実」だった。

【別人】
 当然のように、クリスティンは少年が別人であることをジョーンズ警部に訴え出た。しかし、警察の功績をマスコミにアピールすることしか頭にない警部は、5ヵ月間でウォルターの容貌が変わっただけだと主張し、「彼を引き取れ」と強行に少年をクリスティンに押し付けた。「この少年は何者なの? なぜ私のことをママと呼ぶの!?」。混乱の渦中で、クリスティンは仕方なく少年を家に連れ帰ることになった。見知らぬ少年(デヴォン・コンティ)との生活の中で、彼がウォルターでないことは、日々明白になっていく。マナーや言葉遣いが違うし、身体的な特徴も違う。何よりも、少年の身長が失踪前のウォルターより7センチも低いことが、別人であることの動かぬ証拠だった。そのことをジョーンズ警部に報告したクリスティンは、「手遅れになる前にウォルターを探してくれ」と必死に願い出る。しかし、かたくなに人違いを認めない警部は、「母親の責任から逃げている」と逆にクリスティンを非難。また、警部の差し金で少年を診察した医師も、「身長が低くなったのはストレスのせいだ」と主張し、自分の息子がわからないクリスティンの方に問題があるという「診断」を下す。その間にも、どんどん失われていく時間。本物のウォルターを見つけ出すチャンスが刻一刻と遠のいていくことに、クリスティンは焦りと歯がゆさをつのらせるが、彼女にはそれをどうすることもできなかった。

【権力】
 そんなある日、クリスティンの元に一本の電話がかかってくる。相手は、長老教会の牧師グスタヴ・ブリーグレブ(ジョン・マルコヴィッチ)だった。ラジオを通じて警察の腐敗摘発キャンペーンを展開している彼は、ウォルターを診察した医者の談話を新聞で読み、警察がクリスティンを危険人物とみなす事態が発生したことに気づいて連絡してきたのだ。「警察と闘うなら力になる」というブリーグレブの申し出を、「私は警察と闘いたいのではなく、息子を取り戻したいだけです」と言って断るクリスティンだが、「正しく闘えば不幸な事態を終わらせられる」というブリーグレブの言葉が、彼女の心を動かす。こうして始まったウォルターを取り戻すための闘い。歯科医や牧師など、失踪前のウォルターをよく知る人々から必要な証言を得たクリスティンは、これまでの経緯を人々に知ってもらおうと、ブリーグレブのラジオ番組への出演を決意する。だが、その直前に警察へ連行された彼女は、「警察に騙されたと主張し、息子を別人だと主張した」という理由により、ロサンゼルス病院の精神病棟へ送られてしまった。

【悪夢】
 外部に助けを求める暇も与えられずに病棟へ放り込まれたクリスティンは、同じ入院患者のキャロル・デクスター(エイミー・ライアン)から、自分たち同様に警官を怒らせたことが原因で精神病院に送られた女性が、他にも大勢いることを聞かされる。「ここに入れられたら従うだけよ」。それが生き残りの鉄則だとキャロルに教えられたクリスティンだが、「人違いの主張は間違いだと認めろ」と迫る医師の言葉には、どうしても従うことができなかった。従ってしまえば、本当のウォルターを捜索するチャンスが永遠に失われてしまうからだ。歯を食いしばり、来る日も来る日も医者に「ノー」と言い続けるクリスティン。その反抗的な態度から電気ショックの治療室に送りこまれた彼女だったが、ブリーグレブの尽力により、寸前のところで治療を逃れ、退院を許可された。

【事件】
 精神病院の悪夢から解放されたものの、クリスティンには別の試練が待ち受けていた。ロサンゼルス近郊にあるゴードン・ノースコット(ジェイソン・バトラー・ハーナー)の農場で、複数の子供の死体が発見される事件が発生。逃亡中のゴードンに命じられて20人あまりの少年の誘拐殺人を手伝ったという従弟(エディ・オルダーソン)の証言により、被害者のひとりがウォルターである可能性が出てきたのだ。それが新聞で報じられるに至り、さすがの警察も人違いのミスを認めざるをえなくなった。が、一刻も早く事件の幕引きをしたい彼らは、ウォルターがノースコット農場で死亡したと断定し、捜索の打ち切りを決定する。その辛い現実に直面したとき、クリスティンは決意する。息子を取り戻すための闘いを、あくまでも続ける、と。そんな彼女の元に、ゴードンが逃亡先で逮捕されたという知らせが届く。
 果たして、ウォルターはゴードンに殺されたのか? ウォルターだと名乗っていた少年の正体は? 失踪事件発生から7年という長い歳月の果てに、クリスティンは驚きの真実を知ることになる……。