ミッキー・ノックス：ウディ・ハレルソン
マロリー・ノックス：ジュリエット・ルイス
ジャック・スキャグネッティ：トム・サイズモア
ウェイン・ゲール：ロバート・ダウニー・Jr
ドワイト・マクラスキー：トミー・リー・ジョーンズ
エド・ウィルソン：ロドニー・デンジャーフィールド
マロリーの母親：エディ・マックラーグ
デイル・リグレー巡査：デイル・ダイ
ガソリンスタンド店員：バルサザール・ゲティ
ダンカン：ジョー・グリファシ
メーベル：オーラン・ジョーンズ
ソニー：リチャード・ラインバック
ピンボール：エド・ホワイト
ケヴィン：シーン・ストーン
デヴィッド：エヴァン・ハンドラー
ロジャー：カーク・バルツ
ジュリー：テリーレーン

第51回ヴェネツィア国際映画祭：審査員特別大賞受賞

　アメリカは片田舎の名も無い町のハイウェイ沿いのレストラン。――客もまばらなこの店にふらっと立ち寄ったミッキー（ウディ・ハレルソン）とマロリー（ジュリエット・ルイス）の二人。マロリーがジュークボックスをかけてフロアで踊りだしたところへ地元の中年男たちが入ってきて卑猥な仕草で彼女を囃したてる。

　「よう姉ちゃん。俺が相手してやろうか？」
　「相手になりたいの？　いいわ」
　そう言うとマロリーはしなやかな身体で強烈なパンチを見舞わせ相手を叩きのめす。加勢をしようとした仲間の男に今度はミッキーの銃が火を噴く。楽しむ様に居合わせた者たちを惨殺した二人は、レジの金を掴むとたった一人だけ生かしておいた客にこう告げる。
　「いいか。警察に聞かれたら、ミッキーとマロリーがやったと言うんだぜ……」
　車を止めて澄み切った夜空の下で語る二人は、今日犯した殺人の事など微塵も気に掛けていない。世の中が狂っているだけなのさ。いつか天使が私たちを迎えに天から降りてきてくれるのよ。……二人の愛は永遠だ。そもそも出会いが運命的なものだったのさ。
　ＴＶ画面に写る『アイ・ラブ・ルーシー』の映像＝無垢なる時代のイメージ……。
　『アイ・ラブ・マロリー』の始まり。少女マロリーの家庭生活のスケッチ。パパ（ロドニー・デンジャーフィールド）はいつもマロリーちゃんに性的虐待を加えている。ママは黙って見ているだけ。ピンポーンと玄関ベルの音。ママがドアを開けると肉屋の配達人ミッキーの登場だ（拍手！）。お互いに一目惚れした二人はパパの車を盗んでグッバイするが敢えなく捕まりミッキーは刑務所へ。強制労働に駆り出されていた最中に竜巻に乗じて脱走したミッキーはマロリーの家に戻り、二人でパパの頭を金魚鉢に沈めママをベッドに縛って火を付ける。やっと自由が手に入った！
　ルート666をひた走る二人。傷つけた手のひらを合わせて血を分かち合い、永遠の愛を誓う。通りかかった町で道を教えてくれた警官を射殺したり、町で拾った女の子をモーテルの部屋に監禁してその目の前でメイクラブに耽る二人はいつしかマスコミによってヒーローに崇め奉られていた。街頭インタビューに答える若者は、「もし自分が大量殺人者だとしたら、ミッキーとマロリーみたいになりたい」と言う。彼らはもう52人も殺していた。
　彼らを追う二人の男がいる。一人目は暴力刑事のジャック・スキャグネッティ（トム・サイズモア）で、この有名人犯罪者を捕まえて自分の名を売り、あわよくばそれについてのベストセラーを書きたいと思っている。もう一人はタブロイドＴＶの番組ホスト、ウェイン・ゲール（ロバート・ダウニー・Jr）で、二人をスターに仕立て上げて独占インタビューを行い視聴率を上げようと画策していた。
　道に迷ったミッキーとマロリーはインディアンのまじない師の老人の小屋に泊めてもらうが、悪夢にうなされたミッキーは誤って老人を撃ち殺してしまう。初めて後悔する二人。小屋から逃げる時にガラガラ蛇に噛まれた二人は町のドラッグストアに駆け込むが、そこを包囲したスキャグネッティ刑事らによってとうとう逮捕されてしまう……。
　二人が別々の独房に入れられた刑務所はサディスティックな所長ドワイト・マクラスキー（トミー・リー・ジョーンズ）によって日夜囚人への虐待が行なわれていた。二人の逮捕から一年後、所長と本人の許可によってゲールによるミッキーへの監獄内独占インタビューが生中継で行なわれることになったが、それが恐るべき大暴動に発展するとは所長もゲールも、たまたま居合わせたスキャグネッティも、まだ誰も知る由が無かった……。

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