CHACUN CHERCHE SON CHAT
英題:CHACUN CHERCHE SON CHAT
日本公開:1996年07月27日
製作国:フランス
言語:フランス語
上映時間:91分
配給:フランス映画社

【スタッフ】
監督:セドリック・クラピッシュ
脚本:セドリック・クラピッシュ
製作:アイッサ・ジャブリ
   ファリド・ラウアサ
   マニュエル・ムンツ
撮影:ブノワ・ドゥローム
録音:オリヴィエ・ル・ヴァコン
キャスティング:ブルーノ・レヴィ
美術:フランソワ・エマニュエリ
衣装:ピエール=イヴ・ゲイロー
編集:フランシーヌ・サンベール
制作:サデク・ジュルムーヌ

【キャスト】
クロエ:ギャランス・クラヴェル
ジャメル:ジヌディーヌ・スアレム
マダム・ルネ:ルネ・ル・カルム
クロエの同居人ミシェル:オリヴィエ・ピィ
同僚のフロ:エステル・ラリヴァズ
デザイナー、ヴェラ:マリナ・トメ
ヴェラのアシスタント、ヴィクトワール:カミーユ・ジャピィ
画家ベルカント:ジョエル・ブリス
カルロス:シモン・アブカリアン
ミシェルの親友クロード:フランク・マンゾーニ
マダム・アンリエット:ジャクリーヌ・ジュアヌッフ
マダム・ヴェルリゴダン:ダニエル・オワナール
猫の友協会会長デュブロウスキー夫人:マリーヌ・シャンタル
行方不明癖のシュロー未亡人:マドレーヌ・マリー
グリグリ:アラピム
ランボー:ランボー

【ストーリー】
 初夏のパリ。フランス革命を記念する”七月の円柱”が見え、工事用クレーンがたちならぶパリ11区の家並み。バスティーユ広場に新オペラ座ができて以来、11区はパリの流行の先端になって、どこもかしこも改築ラッシュなのだ。
 クロエは古いアパルトマンのロフトに、ホモの青年ミシェルと家賃をシェアして住んでいる。近所からうるさく聞こえるドラムの音がいつもの悩みだが、今もっと深刻な悩みは黒猫のグリグリ。ヴァカンスに出発する日がきたのに、友人が誰も預かってくれないのだ。ミシェルに相談しようにも、彼は今朝ボーイフレンドにフラれたばかりで、とても猫どころではない。
 近所のケレル街に猫を預かる老婦人がいると聞いて、クロエは、ポーズ・カフェから、パン屋バー・タイランディエをたどって会いに行く。マダム・ルネという噂の老婦人は70才くらいで、歯に衣を着せぬ典型的な下町気性の人。ランボーという名の小さな愛犬と5匹の猫を飼い、私は人間に裏切られたことはあるが動物とは大丈夫といい、名がグリグリ(灰色)?、黒猫だからクロスケがよかったんじゃないかといいながらもグリグリを快く預かってくれて、クロエは、同じ11区の仕事場へ。メイクアップ・アーティストという肩書きながら、ファッション・デザイナーのヴェラ先生とアシスタントのヴェクトワールに、同僚のフロと二人、チームでこき使われる下働きだ。晴ればれとした気分で、いざ、3年ぶりのヴァカンスに、海へ。駅に向かう道ですれ違う見知らぬ青年の微笑が快い。
 しかし戻って来たら、グリグリが行方不明で、クロエは真っ青に。マダム・ルネも、猫に逃げられたのは初めてと人生で最大の衝撃を受けている。彼女の推測通り、グリグリの家出経路を追って、向かいのアパルトマンのデュボワ夫人、青年ジャメル、家具工場の黒人3人に尋ねてまわるが、誰もグリグリを目撃した人はいなくて、黒人3人は、グリグリ(アフリカで”お守り”を意味する)が行方不明と聞いて目を丸くするだけ。
 こういう時、近所の住人のたまり場であるタイランディエは役に立つ。特に昨今は、地上げブームで住人が追い払われ、次は画家ベルカントの番かと不愉快な話題ばかりなので、マダム・ルネの号令下、グリグリ捜索隊は即座にできあがる。クロエは、ミシェルとジャメルと共に、改築ブームで古い教会さえ破壊される町中へ、ビラ貼りに出かけ、マダム・ルネは、友人の老婦人たちや動物愛護関係団体に呼びかけ、クロエとグリグリのことは、たちまち町中に知れ渡る。
 老婦人のひとりアリエットがクロエに夜も外出して探し続けるようにと励まして、護衛として推薦してくれたのがジャメルだったり、マダム・ヴェルリゴダンは毎日電話をくれ、それが天候の話だけでいらいらしたり、別な老婦人マダム・シュローが、夫を亡くしてから迷子になる癖がついたという姿を見たりするうち、クロエは、見慣れていたはずの世界が少し違って見えて来るのに気づく。夜、グリグリを探すために化粧して外出して、思っていたよりも自分が孤独だったことに気づいたり。
 ジャメルは猫探しを手伝いながらクロエに惹かれている。タイランディエで常連客にからかわれる自分を彼女が救ってくれては恋心がつのり、夜、彼女を家まで送ってキスを迫って拒まれてはまた恋心がつのり、翌日、懸賞で当たった週末旅行に一緒にと誘ってみて、「猫を捜さなきゃ」と断られては、またまた恋心がつのり、日夜ますます、グリグリを探し続ける。
 クロエがフロと残業しといて、ヴィクトワールが悪態をつきにきた日のこと。夜、クロエは、フロとの待ち合わせで流行りのバーにいくので、ミシェルのお手伝いでファッションを決め、バーへ。手前の路地で、グリグリを探す男の声がする。ジャメルだ。知らぬフリをしてバーに入るが、とんでもないことばかり起こった。まず、あの微笑の青年がいた。ヴァカンス前に駅ですれ違った青年だ。ドキドキしていると、第二の男が来て執拗にクドかれ、そこを女バーテンダーが救ってくれたが、第二の男のことで、なんとヴィクトワールが追って来て、私の男を奪う気かとカラまれ、逃れて店の前で男たちに連れ去られそうになったところを店のボディガードに救われ、女バーテンダーに家まで送ってもらうと、今度は彼女が体ごと迫ってきて……。あまりにたくさんの災難に見舞われて動転したクロエは、その夜、ミシェルのベッドに入りこむ。ホモのミシェルはクロエにとって安心して眠れる貴重な友達だった。
 グリグリを探す不思議な悪夢。クロエは、床のきしむ音で目を覚ます。スキンヘッドの男が覗いている。ミシェルはいない。クロードという、ミシェルの新しい恋人らしいその青年に、女がなぜここにいるのかと徹底して怪しまれて、クロエは面白くない。クロードが外出したのを見て、陽気なミシェルに、「もし私が邪魔だったら言ってね」とクロエ。
 ヴェルリゴダン夫人から、グリグリが見つかった、でも死体で、との連絡が入る。マダム・ルネと3人、更地の広場でおそるおそる見る死体の黒猫は、幸いグリグリではなかった。胸を撫で下ろす3人に、しかしまた新しいアクシデントの知らせが。ジャメルが屋上に登って、猫を追っている。グリグリとは違う灰色の毛の猫だ。クロエは叫んで止めるが、ジャメルはその瞬間、屋根を転がり落ちて危機一髪、駆けつけた消防署員に救われて事なきを得たが、タイランディエの常連たちはその武勇伝に大笑い。笑われたジャメルは困り果てて泣き出す。
 その時、店の表を通り去った若い男を、マダム・ルネがクロエに、あいつこそ、あのうるさいドラムの犯人だよと教える。なんと、駅ですれ違い、夜のバーで出会ったあの微笑の青年ではないか。思わず走り出して、青年を追い、気がついた時には、クロエは青年のロフトにいた。いつも問題だったあのドラム演奏にうっとり心を奪われ、青年のベッドで愛のひと時を過ごしていた。しかし青年が、ガールフレンドらしい誰かからかかってきた電話でむつまじく話し、クロエのことを、今男友達と一緒にいる、ととりつくろうのを聞いて、クロエは裸の身に服をまとい、それで別れた。
 マダム・ルネが病気になった。クロエはジャメルと彼女を見舞う。スープなら食べるという彼女のために台所に入ってオーブンの火を入れる。5匹の猫たちが一斉に喉を鳴らす。しかしどこから、か弱い、けれど耳に覚えのある泣き声が。グリグリだ。何と、オーブンと壁の隙間にはさまれて動けずにいたのだ。
 久々に自宅に戻ったグリグリとクロエ。何やらドアの外が騒々しい。覗いてみると、ベルカントが家主にとうとう追い出しをくらい、友人たちに助けられて引っ越しの荷物を運び出しているところだった。クロエも手伝い、手伝ううちに、ベルカントが自分に好意を寄せていたことを知る。彼はひそかに描いていたクロエの肖像画を見せる。
 タイランディエで、ベルカントが常連客と別れの挨拶を交わす。クロエがベルカントが親密にいつまでもなごりを惜しんでいるのを見て、ジャメルは泣けてくる思いだ。人生は不公平だと嘆く彼をなぐさめて、マダム・ルネたちが、いつしか、≪サ・セ・パリ≫と懐かしいシャンソンを陽気に歌いだす。
 シャンソンに乗って出発していくベルカントの車を見送るクロエは、泣き笑いの、でも、すっきりと晴れやかな顔だ。何かが変わった。何かが抑えられずに、いつしか彼女は自然に走り出していた。

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