Butterfly
原題:M.Butterfly
米国公開:1993年10月01日
日本公開:1994年04月23日
製作国:アメリカ
言語:英語
画面:ヴィスタ
音響:ドルビー・ステレオ
上映時間:101分
配給:ワーナー・ブラザース映画

【スタッフ】
監督デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:デヴィッド・ヘンリー・ホアン
製作:ガブリエラ・マルチネリ
製作総指揮:デイヴィッド・ヘンリー・ホァング
      フィリップ・サンド
美術:キャロル・スピアー
音楽ハワード・ショア
撮影:ピーター・サシツキー
編集:ロナルド・サンダース
衣装デザイン:デニース・クローネンバーグ

【キャスト】
ルネ・ガリマール:ジェレミー・アイアンズ
ソン・リリン:ジョン・ローン
ジャンヌ・ガリマール:バルバラ・スコヴァ
トゥーロン大使:イアン・リチャードソン

【ストーリー】
 1964年、北京。フランス大使館の外交官ルネ・ガリマール(ジェレミー・アイアンズ)は、ある夜会でプッチーニの『蝶々夫人』を初めて観る機会を得た。野外の舞台で、マダム・バタフライの最期を哀切に歌いあげる中国人女優。ガリマールは知人のバーデン夫人が解説してくれるのも耳に入らず、舞台の女優に釘付けになった。
 彼女はソン・リリン(ジョン・ローン)。京劇の歌姫だ。終演後、感動を伝えるガリマールに彼女は、謎めいた微笑を浮かべながら、京劇を観に来てと言い残して立ち去る。帰宅したガリマールは興奮気味に、妻のジャンヌに今日の素晴らしい体験を話した。
 3週間の期間を置いて彼は劇場へ出かけた。京劇の舞台で歌うソンは、前にも増して美しかった。楽屋での彼女、語らいながら街を歩く彼女のミステリアスな魅力。が、自分の家まで来ると、男の思いを断ち切るように扉の中に姿を消した。帰宅したガリマールは、今度はジャンヌに嘘をついた。
 翌日、意を決して訪ねていったガリマールをソンは招き入れた。亡くなった父のこと、フランスと中国のモラルの違い……薄闇の中で問わず語りに語るソンを思わず抱き寄せ、恥じらうその唇にキスする彼。
 その後、ガリマールは仕事に没頭した。ソンからは何通も手紙が来た。はじめは寂しさを控え目に訴え、しだいに恨んだりスネたり怒ったり。ついには、恥は差し上げましたと決定的な愛の言葉を捧げてきた。
 折しもガリマールは、最近の勤務ぶりが大使に評価され、副領事に抜擢された。ベトナム情勢の変化に伴い、情報部の統轄を担うこととなった。ソンを再び訪ねる日が来たのだ。昇進の喜びを告げる彼は自信にあふれていた。いまやソンは彼にとっての”バタフライ”だった。激情のままに熱いキスを交わす二人。そのあとに続いた、ソンの慎み深くも巧みな愛の手管に、ガリマールはいまだ経験したことのない陶酔を味わう。
 彼にとって公私ともに充実した日々が続いた。激化するベトナム戦争に対して中国がどう出るか、大使館を持たないアメリカはガリマールらの情報分析に期待を寄せていた。そうした国家間の機密が、あるルートから漏れていようとは彼は知るよしもなかった。
 ある晩、人民服を着た中国人女性がソンを訪ねていた。ソンは彼女を同志チンと呼び、アメリカのベトナム戦略に関する情報を伝えた。しかし同志チンは、ソンの過度な女装ぶりを頽廃の極みと非難し、さらなる情報収集を要求した――。じつはソンは京劇俳優として堕落の罪に問われ、償いのために女になりすましてスパイ活動をしていたのだ。
 そうとも知らず、バーデン夫人との”浮気の浮気”にうつつを抜かすガリマール。その足でソンの家へ行くと、酔った勢いで横暴に振る舞い、慎みの砦を破ろうとする。そのとき、とっさに妊娠を告げるソン。感激したガリマールは、永遠の愛を誓う。ソンは出産のために故郷へ帰ると称して旅立ち、同志チンに赤ん坊の手配を要求するのだった。
 北京では若者たちの紅衛兵の一団が台頭し、反動の猛威をふるい始めた。京劇の衣装が焼かれ、劇場は変わりはてた。西側の外交官も行動の自粛を余儀なくされた。ソンが混血の美しい男の赤ん坊を抱いて戻ってきたとき、ガリマールは結婚してパリで暮らそうと言う。が、ソンは悲しげに首を横に振り、まもなく紅衛兵に連れ去られた……。
 大使館でのガリマールは情勢判断のミスで降格となり、やがて帰国を命ぜられた。パリに戻った彼は、妻と別れ、質素なアパートで独り寂しく暮らしていた。1968年のある日、そんな彼のもとにソンが姿を現した。再び訪れた至福の時。だが、その愛の行く手に待ち受けていたものは……。

エム・バタフライ【字幕ワイド版】 [VHS]

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