The Hotel New Hampshire
原題:The Hotel New Hampshire
日本公開:1986年07月12日
製作国:アメリカ
言語:英語
音響:ドルビー
上映時間:109分
配給:松竹富士

【スタッフ】
監督:トニー・リチャードソン
脚本:トニー・リチャードソン
原作:ジョン・アーヴィング
製作:ニール・ハートリー
   ピーター・クローネンバーグ
   デヴィッド・J・パターソン
撮影デヴィッド・ワトキン
編集:ロバート・K・ランバート
音楽:レイモンド・レパード

【キャスト】
フラニー・ベリー:ジョディ・フォスター
ジョン・ベリー:ロブ・ロウ
ウィン・ベリー:ボー・ブリッジス
スージー”ベアー”:ナスターシャ・キンスキー
アイオワ・ボブ:ウィルフォード・ブリムリー
フランク:ポール・マクレーン
チッパーダブ/エルンスト:マシュー・モディン
リリー:ジェニー・ダンダス
フロイト:ウォーレス・ショーン
メアリー・ベリー:リサ・ベインズ
エッグ:セス・グリーン
ミスキャリッジ:アマンダ・プラマー
ロンダ・レイ:アニタ・モリス
ジュニア・ジョーンズ:ドーシー・ライト

【ストーリー】
 「ホテル・ニューハンプシャー」は、あるアメリカ人一家の成功と失敗、生と死、そして彼らの人生において出会ったさまざまな人々を描いた大河小説である。
 第二次世界大戦前夜の1939年。ハーバード入学をめざすウィン・ベリー(ボー・ブリッジス)は、メイン州アーバスノットのホテルでアルバイト中に同郷のメアリー(リサ・ベインズ)と出会い、恋におちる。そこはユダヤ人フロイト(ウォーレス・ショーン)と熊の曲芸を売りものにしている、高級リゾートホテルだった。オートバイを乗り回す熊”メイン州”はみんなのアイドルだったが、国際情勢の不穏な動きを察したフロイトは、”メイン州”とオートバイをウィンに売り、「メアリーと結婚すること」を彼に約束させて「あちらには利口な熊が多いからね」とウィーンへと去って行った。
 2人は約束を守って結婚し、5人の子供が生まれた。祖父アイオワ・ボブ(ウィルフォード・ブリムリー)がフットボールのコーチをしている高校で教師として生計をたて、平和に暮らしながらも、ウィンには「熊のいるホテルを経営したい」という大きな夢があった。ホテル経営ならば、家族全員がいつもいっしょにいられることも理由のひとつだった。
 ウィンは、メアリーの母校である女学校の古い校舎を買い取ってホテルに改築し、これを”ホテル・ニューハンプシャー”と名付けた。
 ”メイン州”は既に死んでいたので、ウィンはホテルに力をつぎこんだ。そして子供たちは、この緑に囲まれたホテルで成長していく。同性愛者の長男フランク(ポール・マクレーン)、美しくてしっかり者の長女フラニー(ジョディ・フォスター)、姉を熱愛するひ弱な次男ジョン(ロブ・ロウ)、身長の伸びない文学少女の次女リリー(ジェファー・ダンダス)、そして耳の不自由な三男エッグ(セス・グリーン)。
 ハロウィンの夜、事件が起こった。「初体験が生涯を左右するわ」とジョンに語っていたフラニーが心秘かに憧れていたダブ(マシュー・モディン)とその仲間にレイプされてしまう。「昨日までの私を返して」とつぶやいたフラニーに、姉を助けられなかった自分をもどかしく思ったジョンは、祖父の元で体を鍛えはじめた。さまざまな出来事や青春の悩みに戸惑いながらも、月日はゆっくりと流れていった。
 はじめは順調だったホテル経営も、一家を暖かく見守っていた祖父の急死の頃からかげりが見え始めた。そんなある日、消息が途絶えていたウィーンのフロイトから、一通の手紙が届いた。「賢い熊のいるホテルを手に入れた。ぜひ手伝ってほしい」というその内容にウィンは狂喜し、新天地オーストリアに希望を求め、一家は大西洋を渡った。
 しかし、その夢の代償でもあるかのように、一家は母メアリーとエッグを飛行機事故で失ってしまう。また、ウィーンも決して希望の地ではなかった。年老い、そしてナチの為に盲目になっていたフロイト、熊のぬいぐるみを着た、心に傷を持つ娘スージー(ナスターシャ・キンスキー)、そして売春婦やテロリストのはびこるうらぶれたホテル。見知らぬ土地で、見知らぬ人に囲まれた子供たちはアメリカに帰りたいと言ったが、今や母がわりになったフラニーが兄弟を説得し、一家はホテルのたて直しに心血を注いだ。その甲斐があって、第2の”ホテル・ニューハンプシャー”もアメリカ式の快適なホテルとして軌道に乗ってきた。
 しかし、このホテルをアジトにしていたエルンスト(マシュー・モディン/2役)を中心とするテロリストたちが、ホテルを乗っ取って一家を人質にし、「オペラ座爆破に加担しろ」と脅迫する。フロイトが自らの命を犠牲にしたおかげでテロは未遂に終り、テロリストたちも死んだ。しかし大切なホテルは破壊され、その時に飛び散った建物の破片で、ウィンは視力を奪われてしまった。
 この事件で、ベリー一家は「オペラ座を救った家族」として世界的に有名になる。また同じ頃出版された、リリーが書いた一家の物語”大きくなりたくて”がベストセラーになり、彼らはスージーを連れてアメリカへと凱旋、喝采を浴びた。出版社の招きで滞在していたホテルで、フラニーはダブにレイプの復讐を果たし、そしてジョンと”一線を超える”ことによって、姉妹の恋愛を卒業した。
 全てが順調だった。リリーの小説は映画化され、その主演女優としてデビューしたフラニーはスターになった。しかし、またベストセラーを生もうとしたリリーの第2作は失敗、様々なプレッシャーに彼女の繊細な心は耐えきれなくなり、「大きくなれなくてごめんなさい」という言葉を残し、ホテルの窓から鳥のように飛んでしまった。
 多くの愛する者たちを失ない、その悲しみを乗り越えて、ベリー一家はとうとうアーバスノットにたどり着いた。ウィンがずっと抱き続けていた夢が、メアリーとの恋愛時代の思い出の地で実現した。第3の”ホテル・ニューハンプシャー”が、ここに誕生したのである。
 ウィンの新たな人生が、再び始まった。幸せな結婚をしたフラニー、姉への想いがふっきれたジョン、そしてジョンの愛によって、熊のぬいぐるみを脱ぎ捨てたスージーたちの新しい人生とともに……。