ULTIME GRIDA DALLA SAVANA
原題:ULTIME GRIDA DALLA SAVANA
日本公開:1976年03月13日
製作国:イタリア
言語:イタリア語
上映時間:94分
配給:日本ヘラルド映画

【スタッフ】
監督:アントニオ・クリマーティ
   マリオ・モッラ
製作:チタヌス
撮影:アントニオ・クリマーティ
ナレーション台本:アルベルト・モラビア
音楽:カルロ・サビーナ
主題歌:アン・コリン「グレート・ハンティング 愛のテーマ」

【ストーリー】
<空前のショック!家族の目の前で人間がライオンに食われる!>
 事件は、1975年2月18日、アフリカのアンゴラにある自然動物保護区で起こった。3台の自動車に分乗した観光客の一行は、陽を浴びてヌクヌクと寝そべっているライオンたちの前で止まる。ライオンは自動車のボンネットの上に乗ったりして、実に楽しげな様子がカメラに収められている。
 先頭の車に乗っていたピット・デーニッツが、16ミリカメラを持って、寝そべっているライオンを撮ろうと車から半身を乗り出した。そして彼は、カメラをまわしながら、とうとう車から一歩、二歩と出た。すると、車の後ろにいたもう一頭のライオンが、突然背後から襲いかかりピットを地上に倒す。寝ていたライオンも起き上がり、三頭のライオンがピットの体にのしかかってくる。
 先頭の車では、ピットの家族――妻キャロル、9歳の娘キム、2歳の息子グラハムの三人――が泣き叫んでいるが、とても近寄れない。惨劇はつづいた。ピットの肉体がバラバラになったとき、ライオンは、互いに争いを始める。
 この衝撃のシーンを撮影したのは、一番最後の車に乗って、やはり16ミリカメラでライオンを追っていたツーリストのカール・ゾーエンとレジー・コーエンの二人で、この事件の一部始終を、ライオンとピットの争うさま、家族の驚愕の表情などを、自分自身も驚きながら、撮っているのが画面を見ると大変よくわかる。

 ”自然動物保護区”で起こったこの事件は、いったい動物保護とは何なのだろうか、という疑問をも新たに生じさせる。人間は長い間、いろいろな動物を狩り、少なくとも数百種の動物を絶滅に追い込んだ。
 そして今、人間は遅まきながら後悔し、大草原やジャングルでは動物保護の十字軍が続々と送り込まれているのだ。
 アラスカ熊、白サイ、オートボルタの象、ミルンガ・レオニカと呼ばれるゾウアザラシの一種。アルゼンチンの沼鹿。これらはいずれも捕えられたあと保護区へ送られ、体に送信機を埋め込まれ、存在が確認できるようにされたりする。しかし、本当にこれは”動物保護”なのだろうか。

<生存の死闘>
 生きるために他の動物を倒して食う。これは大草原やジャングルの掟であり、自然の残酷なルールでもある。
 オランウータンを襲う豹。子猿を毎日数匹も飲み込む6メートルもあるアマゾンの大蛇。大蛇ににらみつけられ、身がすくんで動けない子猿の表情が痛々しい。
 そして人間もまた他の動物を食う。オーストラリアの原住民は、ブーメランでコウモリを落とし、槍でカンガルーを殺し食料としている。これも生存のための死闘なのだ。

<人間本能と狩り>
 アラスカのエスキモーたちは、いま生活の激変に驚いている。彼らは元来が狩猟民族だったのだが、石油が出たため、皆、成金になってしまい、しかも猟が出来なくなったため、皆ウツ病にかかってくる。精神科医の助言により、彼らは夕食前、銃でケワタガモを射つ。
 弾丸は毎時160万発。猟銃は4秒に1挺ずつ造られている。人間の精神状態を安定させるための”狩猟”がどこでも行われている。
 アフリカでは毎年6,000頭の象と、140万頭のシマウマ、160万頭の野牛、650万頭のカモシカが殺されている。食料のためだけでなく、単なる遊びのためとして……。

<大地と交わる原住民>
 文明人の暴力的な狩猟観と違い、狩猟民族にとって、大地は神聖である。クールー族の男たちは、毎年シーズンの初めに大地に穴をあけ、揃って地球とファックし、それをはらませようとする。その壮大な光景は、宗教的儀式として一種の崇高さを我々に感じさせる。
 オートボルタのロビ族も似たような儀式をやる。彼らはシーズンの初めに川で、バンゲラという呼び名の儀式を行うのだ。彼らはオナニーをして、精液を川に流すのだ。領域の動物たちがそれを飲めば、殖えると彼らは信じているのだ。

<人間が人間を狩る>
 アマゾンの奥地に住むグアルナキ族が猛毒クラーレのついた吹き矢で、新しい飛行場建設に従事している白人の労働者を殺すというので、入植者たちは無頼の私設軍隊を使ってインディオを虐殺している。その数毎年7,500人。捕えたインディオの性器を切りとり、頭の皮をはぎ、首を切る男たち。彼らは単に楽しみのために人間を”狩る”のだ。
 無頼漢どもの中に、このシーンを撮影させた連中がいた。そしてアマチュア・カメラマンのラモン・オルドネスが、この恐るべき”人間狩り”の一部始終を画面にとらえている。まさにこれは正視できないほどのショッキング・シーンだ。

<野性の狼との対話――人間の未来>
 ドイツのエリック・ジーメン博士はバイエルン州政府の許可を得て、狼の居住地に住み、彼らと仲良く暮らしている。彼に対しては狼たちもなついて甘えるようになっている。
 我々の将来はどうなるのだろうか。狼と対話するジーメン博士のこうした姿に、現代を生きる私たちは一体何を感じるべきなのだろうか。

グレートハンティング 地上最後の残酷 [DVD] NLD-013

新品価格
¥375から
(2016/5/20 05:19時点)