ainokorida
英題:In the Realm of the Senses
仏題:L'Empire des sens
日本公開:1976年10月16日
製作国:日本/フランス
言語:日本語
画面:ビスタサイズ
音響:モノラル
上映時間:104分
年齢制限:R-18
配給:東宝東和

【スタッフ】
監督:大島渚
脚本:大島渚
製作代表:アナトール・ドーマン
製作:若松孝二
製作補:大島瑛子
助監督:崔洋一
撮影:伊東英男
美術:戸田重昌
美術担当:下石坂成典
編集:浦岡敬一
装飾:荒川大
録画:安田哲男
照明:岡本健一
衣裳:加藤昌廣
音楽:三木稔
演奏:日本音楽家集団
美粧:竹村幸二
結髪:大沢菊江
スチール:小山田幸生
合作調整:フランス映画社

【キャスト】
吉蔵:藤竜也
定:松田英子
「吉田屋」のおかみ トク(吉蔵の妻):中島葵
「吉田屋」の女中 松子:芹明香
「吉田屋」の女中 キヌ:阿部マリ子
「吉田屋」の女中 千恵子:三星東美
「吉田屋」の女中頭 お常:藤ひろ子
老乞食:殿山泰司
芸者 八重次:白石奈緒美
「みつわ」の女中:青木真知子
「みつわ」の芸者:東祐里子
「みつわ」の芸者:安田清美
「みつわ」の芸者:南黎
「みつわ」の芸者:堀小美吉
半玉:岡田京子
幇問:松廼家喜久平
「田川」のおかみ:松井康子
大宮先生:九重京司
「満左喜」の女中:富山加津江
蛇の目の娘:福原ひとみ
小料理屋のおやじ:野田真吉
芸者 菊竜:小林加奈枝
「満左喜」の芸者:小山明子

【ストーリー】
 昭和11年2月1日、東京中野の料亭吉田屋に阿部定という女が住み込み女中としてやってきた。吉田屋の主人、吉蔵は40すぎの男盛り、「苦味ばしった」それでいて優しい男。定は一目惚れしてしまう。一方、吉蔵も、廊下を雑巾がけする後姿など、水商売の歳月を重ねてきた定の漂う色香に惹きつけられる。
 ある日、離れ座敷へ定がお銚子を持ってゆくと、吉蔵が芸者を相手に清元を唄っていた。誘うような男の歌声に定はすっかり聞き惚れてしまい、芸者が用足しに立った短い間に吉蔵に体をゆるしてしまう。ほんの遊びにすぎなかった始まりから、定は吉蔵にすっかり夢中になってしまう。吉蔵もそんな定を可愛く思い、2人は夜更けの応接間や朝早くの離れ座敷などで情事を重ねるようになる。
 やがて、2人の仲が吉蔵の妻トクに知られてしまい、吉蔵と定はしめしあわせて駆け落ちする。待合宿に落ちついた2人は、駆け落ちを祝言にみたて芸者をあげて騒いだり、楽しみの限りをつくす。はじめは1日か2日のつもりで家を出てきた吉蔵もいつしか定の情熱にひきずられ、ずるずると日を重ねてゆく。幼児のように天真爛漫に遊びたわむれる定。その定の要求に何ひとつさからわず喜々としてこたえてやる吉蔵。定は生まれてはじめてつかんだ幸せを永遠に離したくないと思うのだった。
 しかしお金がなくなってしまう。吉蔵を家に帰したくない定は、吉蔵に自分の赤い長襦袢を着せて部屋に閉じこめ、自分は名古屋のパトロンのもとへ金策に行くのだった。
 離れている時間の切なさ。再会した2人は更に待合室を転々、いっそうこまやかな愛欲の世界に入ってゆくのだった。2人が駆け落ちしてから、いつのまにか2週間が経ってしまった。吉蔵は「2人が末永く楽しむために」どうしても一度家へ帰り、さまざまなことを取りつくろって来なければならないと言うのだった。長いいさかいの末、定はようやく承諾する。
 互いに思いをつのらせて2人が再び会ったのは、一旦別れてから5日目、5月1日だった。青葉にも風にもそむいて2人は待合の一室に閉じこもったまま果てしない愛欲の世界にのめりこんでゆく。定はたわむれに出刃包丁をふりかざし、「今度別れようとしたら殺してやる!」と叫ぶのだった。吉蔵もふと、ほんとうに殺されるのではないか、ほんとうに殺されてもいいと思うのだった。
 次第に、2人の愛欲には死の影がしのびこんでくる。吉蔵は疲れはじめ、2人の間にもの哀しさが流れはじめる。そして2人はいっそう激しくたわむれるのだった…。

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