
日本公開:1991年07月12日
製作国:オランダ・フランス・イギリス
言語:英語
画面:ビスタサイズ
音響:ドルビー
上映時間:134分
映倫区分:G
製作:Irish Film Board
配給:松竹富士/アルシネテラン
【スタッフ】
監督:ロバート・アルトマン脚本:ジュリアン・ミッチェル
製作:ルーディ・ベーケン
エマ・ヘイター
製作総指揮:デヴィッド・コンロイ
撮影:ジャン・ルピーヌ
美術:スティーブン・アルトマン
衣裳:スコット・ブシュネル
編集:ジェラルディン・ペローニ
フランソワーズ・コワポー
録音:アラン・キュルヴェリエ
音楽:ガブリエル・ヤレド
絵画複製:ロバン・ティオデ
【キャスト】
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ:ティム・ロステオ・ヴァン・ゴッホ:ポール・リス
伯父セント:アドリアン・ブリン
アンドリス・ボンガー:ハンス・ケスティング
ヨウ・ボンガー:ヨハンナ・テア・ステーゲ
娼婦シーン:イプ・ヴィンガールデン
ゴーギャン:ウラジミール・ヨルヤノフ
マリー:アン・カノーヴァス
医師ポール・ガッシェ:ジャン=ピエール・カッセル
マルグリット・ガッシェ:ベルナデット・ジロー
タンギー:ジャン=ピエール・カスタルディ
ブッソ:ジャン・フランソワ・ペリエ
医師ペイロン:フェオドル・アトキーヌ
画家:アン・チャップリン
【ストーリー】
現代、クリスティーズのオークションで、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの代表的連作「ひまわり」の1枚が競りにかけられている。300万ポンド、500万ポンド、2千万ポンド、価格はこともなげに上がっていく……その熱気をよそに、カメラは一人の若き画家を映し出す。19世紀後半、あふれる絵画への情熱と貧困のはざまで苦悩する、若きゴッホ(ティム・ロス)その人である。ゴッホは27歳にもなってから画家を志し、独特のタッチで自分の世界を構築していった。彼が題材に選ぶのは自画像から風景画、花、木、畑、そして身近な人物、椅子、部屋……。とにかく何かに取り憑かれたかのように絵筆をとる。ただし、そんな彼の才能を認めているのは、4歳下の弟テオ(ポール・リス)と、数少ない友人だけだった。
自身、画廊のマネージャーとして働くテオは兄の才能を花開かせるために協力を惜しまない。娼婦と戯れる兄をも見て見ぬふりして、経済的にも精神的にも援助の手をさしのべる。
そんな弟テオは、ヴィンセントにとって大切な友人にして、ボス、そして母親のような存在だった。画家は暇さえあれば弟に手紙を書き、あらゆることを綴る。芸術、創造への畏れ、情熱。貧窮する自分、そして才能を認めぬ社会へのグチ。テオは我慢強く、そんな兄に付き合うのだった。
兄ヴィンセントの存在は、テオの恋愛、結婚にも微妙な影を投げかける。もっと人間らしい家に住みたいと望む新妻に背を向ける夫テオ。新妻が兄からの厖大な手紙を覗き見ようとした時、テオは本気で怒り、彼女は自分が立ち入れない兄弟の強い絆を感じないではいられなかった。
兄ヴィンセントにしても、生活費及び一番重要な画材費のすべてを弟に頼るのは心苦しかった。特に、弟からの借財を返すあてのないことは、本来優しいヴィンセントの心を次第にむしばんでいく。それでもなお絵を描くために、南仏プロヴァンスへの旅行費用を弟に頼らざるを得ない。しかも、この頃、親交を結んでいた画家ポール・ゴーギャン(ウラジミール・ヨルヤノフ)の分までも。経済的な問題は、兄弟二人共を不幸にしていく。
南仏の明るい陽ざしは、ヴィンセントの大好きな”黄色”をいっぱい使う機会を与えてくれた。が、ゴーギャンとの微妙な仲もうまくいかなくなり、ゴッホは発作的に自分の耳を切ってしまう。病院に収容されたヴィンセントをやるせなく見つめるテオ。
退院した彼は、しばらくはまた絵に没頭するが、あらゆる不安、そしてコンプレックス、苦悩の波に押しつぶされ、ついに自分に銃口を向けてしまう。
ひまわりの花に囲まれたヴィンセントの棺。失意のテオもまた、6か月後、兄の後を追うこととなるのだった。