THE CELEBRATION.
原題:FESTEN
英題:THE CELEBRATION
デンマーク公開:1998年06月19日
日本公開:1999年07月17日
製作国:デンマーク・スウェーデン
言語:デンマーク語
画面:シネスコ(1:1.37)
上映時間:106分
製作:ニンボス・フィルム
配給:ユーロスペース

【スタッフ】
監督:トマス・ヴィンターベア
脚本:トマス・ヴィンターベア
   モーゲンス・ルーコフ
原案:トマス・ヴィンターベア
製作:ブリギッテ・ハルド
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:ヴァルディス・オスカースドゥティル
録音:モーテン・ホルム
ライン・プロデューサー:モーテン・カウフマン
音楽:ラース・ボー・イェンセン

【キャスト】
クリスチャン(長男):ウルリク・トムセン
ヘルゲ(父):ヘニング・モリツェン
ミケル(次男):トマス・ボー・ラーセン
ヘレーネ(娘):パプリカ・ステーン
エルセ(母):ビアテ・ノイマン
ピア:トリーネ・ティアホルム
メッテ:ヘレ・ドレリス
ミシェル:テレーセ・グラーン
司会:クラウス・ボンダム
料理長(キム):ビャーネ・ヘンリクセン
バトカイ:バトカイ・ダキナー
受付係:ラース・ブリグマン
ピアテ:リンダ・ラウアセン

【受賞歴】
第51回カンヌ国際映画祭:審査員賞受賞
第64回ニューヨーク批評家協会賞:外国語映画賞受賞
第24回ロサンゼルス映画批評家協会賞:外国語映画賞受賞
第23回セザール賞:外国語映画部門ノミネート
第56回ゴールデングローブ賞:外国語映画部門ノミネート

【ストーリー】
[ある予兆]
 夏のデンマーク。広大に広がる褐色の大地。一人の男が携帯電話を片手に、その大地を割る道を歩いていく。後ろから砂煙を立てて、一台の車が走り抜けていく。歩いている男は、クリスチャン(ウルリク・トムセン)。車を止めてクリスチャンを抱き寄せる男は、弟のミケル(トマス・ボー・ラーセン)。車の中には重なるように3人の子供たちとミケルの妻メッテ(ヘレ・ドレリス)が乗り込んでいる。ミケルは妻と子供たちを怒鳴りつけるように追い出しながら、久しぶりに再会した兄を車の中に抱き寄せる。今日は彼らの父ヘルゲ(ヘニング・モリツェン)の還暦を祝う誕生パーティーなのだ。目の前に広がる広大な土地は、デンマークの鉄鋼王でもある彼らの父親の土地だった。そしてその土地の先には彼らが幼い頃住んでいた壮麗な屋敷が控えている。
 やがて、途中で降ろされてしまったミケルの妻と子供たち、クリンゲンフェルズ=ハンセン家の長女で、クリスチャンとミケルの姉であるヘレーネ(パプリカ・ステーン)、そして多くの友人や親類たちが到着する。
 しかし、喜ばしくあるべきその場には、互いの間に微妙なズレと思惑が生じていた。受付係の男ラース(ラース・ブリグマン)が、ミケルの家族の為の部屋は用意していないと言うのだ。しかもそれは父ヘルゲの命令だった。
 数カ月前、クリスチャンの双子の妹リンダが遺書もなく自殺した。その葬儀に出席しなかったミケルは、父親の怒りをかったのだ。結局、ヘレーネの部屋をミケルの一家に割り当てて、ヘレーネ自身は、封印されていたかつてのリンダの部屋に泊まることになった。
 しばらくすると、ヘルゲが長男であるクリスチャンを自分の書斎に呼び出す。彼は今夜の祝いの席において、リンダの話をせぬよう、暗にほのめかす。そしてそれをするなら、会には出席せぬと言う。しかしクリスチャンは、きっぱりと断る。またヘゲルはミケルも呼び出し、祝宴のウェイトレスを務めるミシェル(テレーゼ・グラーン)との不倫にけりをつけ、問題をおこすなと通告するのだった。
 祝宴の前。ある種の予兆を感じながらそれぞれがそれぞれの部屋で、長い夜のために一ときの休息をとっていた。
[暗号]
 ミケルは、正装用の黒い靴を持ってくるのを忘れたと言って、妻のメッテに当たっていた。それに応戦するメッテ。しかし二人はほどなく、束の間の時間を利用してセックスを始める。
 ヘレーネは、白い布で被われた家具が、その死を悼むべく重く沈殿しているかのようなリンダの部屋で、受付係のラースとともに部屋を点検している。すると部屋の隅に手書きの拙い落書きが記されていて、まるでメッセージのようにヘレーネを誘い込む。それは兄弟だけが知っている幼い頃のゲームの一種で、ヘレーネはその暗号を部屋の中で辿っていく。そして彼女はバスルームへと誘い込まれていく。
 クリスチャンは、パーティーのウェイトレスを務めるピア(トリーネ・ディアホルム)と共に自分の部屋にいた。彼女はしどけない姿態でクリスチャンを誘うように言葉を連ねるが、彼女は心ここにあらずといった感じだ。ピアは、クリスチャンが自分を残して、別の女とパリに行ってしまったことを不満に思っていた。そして久々の再会に心動かされていないことも……。
[秘密]
 祝宴の始まりを知らせる鐘が鳴らされた。シャンパンが用意され、たくさんのワインがワイン・セラーから運び出され、魚のスープの準備が整い、鹿肉がオーブンで焼かれている。今日の料理を仕切るのは、クリスチャンの幼なじみのキム(ビャーネ・ヘンリクセン)だ。彼はもう何年もの間、クリゲンフェルズ=ハンセン家の厨房を守っており、この家の事情に精通している。厨房には祝宴の進行がすべてわかるように、モニターテレビがつけられていた。
 司会の挨拶と父親の簡単なスピーチが終了し、全員が着席した宴もたけなわな頃、クリスチャンのスピーチを約束するグラスが鳴らされた。手に握られたカードは黄色と緑色の二枚。そこに妹の死の真実と家族の秘密が明かされていようとは、誰一人想像だにしていなかった。しかし、そのカードには幼い頃の父親からの”入浴”という名で行われていたクリスチャンとリンダへのレイプの真実が記され、そして皆の前で披露された。少しの間があり、その後、何ごともなかったかのように執り行われていく祝宴、ためらいがちの笑い、ぎこちない会話、そしてクリスチャンの退席。キムに別れを言うために厨房に入ったクリスチャンは、彼に「言いたいことだけ言って、帰るのか」と諭され、最後まで見届けようと踏み止まる決心をする。強い酒を求めて厨房に入ってきた父親は、「教えてくれ。そんなことが本当にあったのか」と、クリスチャンに迫る。そして暗にもう帰るよう促すのだった。
 クリスチャンの決意を知って、キムは客の部屋に忍び込み全員の車のキイを盗み出して隠しておくよう、ピアとミシェルに命じる。一部始終、途中退場なしでこの家の茶番劇を今夜の招待客全員に見てもらおうという気持ちだったのだ。
 やがてヘレーネの新しい恋人バトカイ(バトカイ・ダキナー)も遅れて到着する。しかし保守的なこの地において、黒人である彼の到着は心からは歓迎されない。ミケルはあからさまに嫌悪感を示す。
全員が揃い、乾杯の音頭がまさにとられようとした時、クリスチャンが席に戻る。そしてさっきのスピーチの無礼を詫び、自分が音頭をとると言う。そしてすぐに「殺人者に乾杯!」という言葉が、大広間に響き渡るのだった。
 席を立つ蒼白の父、そして憮然として帰ろうとする客だち。しかし車のキイはすでにキムが隠しており、皆ただ右往左往するだけだった。父はクリスチャンに対し、おまえが小さい頃からどんなに嫌なやつだったか、そして精神病院に入っていたことなどを口にし、皆の前で謝るよう勧告する。
 気を取り直して、再び宴が続行されていく。母であるエルセ(ビアテ・ノイマン)のスピーチは、夫への感謝とそれぞれの子供たちへの思いへと言及されていく。そして「クリスチャンは想像力が豊かで、今日はスヌートという幼い頃からの彼の想像の産物がとりついているので、あんなことを言ったのです」と言う。それを聞いていたクリスチャンは再び立ち上がり、「1974年、あなたは書斎で夫と僕が裸で抱き合うのを見て、夫に出ていけと怒鳴られたはずだ」と口にし、怒ったミケルたちが彼を外に引きずり出す。そして中に入れないようにと森の中の木に縛りつけるのだった。
 パーティではミケルとバトカイが一触即発の状態に陥っていた。バトカイがデンマーク語を理解できないことをいいことに、人種差別の歌で他の招待客たちと一緒に揶揄する。耐えきれず、広間を飛び出すヘレーネ。
[フィナーレ]
 深夜になり、祝宴もいよいよフィナーレを迎えようとしていた。クリスチャンは自分で縄を解いてテーブルに戻っていた。デザートの時間だと母親に諭され、テーブルに戻ったヘレーネはスピーチを始めようと、小さな紙を取り出した。それはさっき部屋で発見したリンダの、兄弟たちに宛てた遺書だった。それは父親が自分を犯す夢をまた見るようになったことへの悲痛と、もう生きていけない事実、そして兄弟、とくにクリスチャンへの愛の言葉が書き連ねてあった。ヘレーネは皆の前でそれを読み上げていく。「娘のためにワインを!」というヘルゲに、誰もボトルを差し出すものはいなかった。宴は終わった。
 酔い潰れたクリスチャンは、炎の向こうにリンダの幻影を見る。夢なのか、幻なのか、現実なのか、酔った頭ではわからない。広間ではパーティの残骸の中で、ヘレーネとバトカイがダンスを踊る。ミケルは泥酔して両親の寝室の前で叫び、父親に襲いかかる。そしてこの家に子供たちを連れて戻ることは二度とない、と暴れ出すのだった。
 昨夜何事もなかったかのように、両親を除く招待客全員による朝食会が行われている。途中二人が現れ、最後の威厳を持って、ヘルゲのスピーチが始まった。もう二度とここには誰も来ないだろうということ、そして自分の過ちを認め謝罪し、しかし本当に過去も未来も子供たちを愛しているということ。