CRASH
原題:CRASH
カナダ公開:1996年10月04日
日本公開:1997年01月25日
製作国:カナダ/アメリカ合衆国
言語:英語
画面:ヴィスタサイズ
音響:ドルビーSR
上映時間:101分
映倫区分:R-18
配給:日本ヘラルド映画

【スタッフ】
監督デヴィッド・クローネンバーグ
脚本デヴィッド・クローネンバーグ
製作デヴィッド・クローネンバーグ
原作:J・G・バラード『クラッシュ』
製作総指揮:ジェレミー・トーマス
      ロバート・ラントス
共同製作総指揮:アンドラス・ハモリ
        クリス・オーティ
共同製作:ステファン・レイチェル
     マリリン・ストーンハウス
撮影:ピーター・サシツキー
美術:キャロル・スピア
衣裳:デニス・クローネンバーグ
編集:ロン・サンダース
音楽ハワード・ショア

【キャスト】
ジェームズ・バラード:ジェームズ・スペイダー
ヘレン・レミントン:ホリー・ハンター
ヴォーン:イライアス・コティーズ
キャサリン・バラード:デボラ・カーラ・アンガー
ガブリエル:ロザンナ・アークエット
コリン・シーグレイヴ:ピーター・マクニール
ヴェラ・シーグレイヴ:シェリル・スウォーツ
空港の娼婦:ヨランデ・ジュリアン
セールスマン:ジュダ・カッツ
刺青師:ニッキー・グァダーニ

【ストーリー】
 トロントの超近代マンション。CFプロデューサーのジェームズ・バラードと妻のキャサリンは、お互いの情事の様子を語り合っている。二人のセックスでは、もはやエクスタシーを感じることができない。
 ある日、ジェームズは出張で空港に向かう途中ハイウェイ上で正面衝突事故を起こす。彼のダッジは分離帯を乗り越えて反対車線に突入。相手のドライバーは死亡。助手席に乗っていた女性ヘレンはジェームズとともに、病院に担ぎ込まれた。
 病院内を歩き回れるほどに回復したジェームズはヘレンと再会する。悲しみにくれているはずのヘレンではあるが、女医という職業からか彼には毅然とした態度を見せた。実は、ジェームズは、事故の瞬間にヘレンと目が合い、その時に覚えた強烈なエクスタシーが忘れられない。ヘレンの連れで、顔に大きな傷跡がある不思議な男が事故の写真をジェームズに見せた。
 退院したジェームズは事故後の車の様子を見に出かける。そこにはヘレンも来ていた。二人の間に性的な緊張が走る。二人は車の中で交わり、いままで堪えていた肉の欲求を思う存分はらした。ヘレンはジェームズに、自動車事故によって性的快感を覚えた人々が集う秘密のカー・クラッシュ・マニアの会が在ることを教え、それに参加しようと誘う。
 その夜の最大の余興はジェームズ・ディーンがこの世を去ったあの有名なポルシェ550のクラッシュ事故を再現しようというものだった。全身傷だらけの男がディーンのものと全く同じポルシェに乗り込み猛スピードで前方の車に突っ込んだ。沸き上がる拍手。ジェームズは自分が奮い立っているのを感じた。
 パトカーのサイレンと共に集まっていた者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げた。ヘレンとジェームズは病院で会った顔に傷のある男に連れられてある家にたどり着く。そこには、ギプスをはめた足に女性の陰部そっくりの傷をもつボンデージ・ファッションの美女ガブリエルがいた。謎の男の名はヴォーン。交通事故でそちらの世界にいってしまった人々をまとめる教祖的存在である。彼は自分の生涯をかけてのテーマ「車とエクスタシーの融合」の研究を手伝ってほしいとジェームズにもちかける。
 ある日ジェームズは、ヴォーンがトレードマークのリンカーンに乗ってキャサリンのユーノスを付け狙っているのを目撃する。キャサリンはヴォーンのただならぬ風貌に興味を感じたようである。その夜、2人はヴォーンのセックスを想像して語りながら久しぶりに燃えた。
 ヴォーンは空港の駐車場で娼婦を拾う。ジェームズに運転させて後部座席でセックスするふたり。ヴォーンの研究はこのところ急速にエスカレートしているようである。
 ジェームズを迎えにきたキャサリンは、空港でひき逃げ事故を起こした疑いで警察に尋問され怯えるヴォーンを見る。彼を心配したジェームズは彼とキャサリンを後部座席に乗せてハイウェイを流すことにした。大きな衝突事故があったらしい。ヴォーンは早速カメラを掴んで潰れた車に近づいた。大破した車は、ジェーン・マンスフィールドの事故を再現しようとして死んでしまった仲間のものだった。仲間の死を嘆きながらも興奮で震えながらシャッターをきるヴォーン。横には、初めてみたクラッシュの風景に圧倒されながら恍惚に浸るキャサリンがいた。
 三人は洗車場に行く。洗車機に入るやいなや後部のキャサリンが自分の乳房を弄び始めた。ヴォーンがその乳房を鷲掴みして…。バックシートのふたりをバックミラーで見るジェームズ。ヴォーンの暴力的なまでのセックスに危険を感じながらも今までにないほど濡れていくキャサリン。その夜、傷ついた身体をジェームズに愛撫されながら自分はもう戻れないところまで来てしまったことをキャサリンは知る。
 ジェームズは、ガブリエルとベンツの新車展示場に行く。ギプスを付けたまま試乗しようとする彼女は、店員に股間を見せつけるように足を開いてみせる。その後カー・セックスにふける二人。
 ヴォーンは遂に身体に車のハンドルを形どった刺青を施した。これで車と一体になれる。彼の凄まじいまでの決意にジェームズは友情以上の深いものを感じ、ふたりは遂に一線を越えて肉体を交える。
その朝、ジェームズとキャサリンは、キャサリンの車に故意につけられた傷を発見する。街の様子も異常に交通量が少なく嫌な予感がする。追ってくるはずのヴォーンがなかなか現われない。予感は的中した。ハンドルを切りそこなったヴォーンはハイウェイから転落。あっけない最期を遂げる。訃報を知ったヘレンとガブリエルは彼の魂を慰めるため車中で体を交えた。
 一方ジェームズとキャサリンは、決死のドライブに出かけた。ジェームズがヴォーンの代わりとなってキャサリンの車を狙う。果たして、二人は愛とエクスタシーを取り戻すこの奇妙な旅を終わらせることができるのか…。

【受賞歴】
第49回カンヌ国際映画祭:審査員特別賞受賞