
米国公開:2008年12月12日
日本公開:2009年03月07日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
画面:ビスタサイズ
音響:ドルビー
上映時間:105分
配給:ウォルト・ディズニー・カンパニー
【スタッフ】
監督:ジョン・パトリック・シャンリー脚本:ジョン・パトリック・シャンリー
原作戯曲:ジョン・パトリック・シャンリー『ダウト 疑いをめぐる寓話』(白水社刊)
製作総指揮:セリア・コスタス
製作:スコット・ルーディン
マーク・ロイバル
撮影:ロジャー・ディーキンス
美術:デヴィッド・グロップマン
編集:ディラン・ティチェナー
衣装:アン・ロス
キャスティング:エレン・チェノウェス
音楽:ハワード・ショア
【キャスト】
シスター・アロイシアス:メリル・ストリープブレンダン・フリン神父:フィリップ・シーモア・ホフマン
シスター・ジェイムズ:エイミー・アダムス
ミラー夫人:ヴィオラ・デイヴィス
シスター・ヴェロニカ:アリス・ドラモンド
シスター・レイモンド:オードリー・ニーナン
カーソン夫人:スーザン・ブロンマート
クリスティン・ハーレイ:キャリー・プレストン
ウォーレン・ハーレイ:ジョン・コステロー
ジミー・ハーレイ:ロイド・クレイ・ブラウン
ドナルド・ミラー:ジョセフ・フォスター2世
ノレーン・ハロン:ブリジット・ミーガン・クラーク
【ストーリー】
目撃者も、証拠もない―――あるのはただ「疑惑」だけ。1964年、ニューヨークのブロンクスにあるカトリック学校、セント・ニコラス・スクール。司祭を務めるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、教会の大聖堂で信者や生徒たちを前に説教を行なっている。「確信がもてないとき、あなたならどうしますか?」
前年に起きたケネディ大統領暗殺事件に触れ、絶望感が人々を結びつける強力な絆になったと主張する彼。「疑惑というものも強力な絆になり得るのです!」と、笑みを湛えながら語るフリン神父の姿を、鉄のように厳格な校長シスター・アロイシアス(メリル・ストリープ)は、冷徹なまなざしで見つめている。
旧来の道徳観と篤い信仰心をもつシスター・アロイシアスは、純真な新人教師のシスター・ジェイムズ(エイミー・アダムス)にたびたび注意していた。授業中、急に鼻血が止まらなくなった少年について、学校をサボるため、わざと鼻血を出したのではないかと指摘するシスター・アロイシアス。彼女は、物事を”疑惑”の目で見なければならないことを、シスター・ジェイムズに断固として告げる。
学校でバスケットボールを教えるフリン神父は、生徒たちからの人望も篤い。彼は学校が守り抜くストイックな規律に対し、現代的な開かれた教会を目指すべきだという持論を展開していた。ある日、シスター・ジェイムズはシスター・アロイシアスに、フリン神父が学校で唯一の黒人生徒ドナルド・ミラーに強い”関心”を示していることを報告する。シスター・ジェイムズの授業中に、フリン神父は礼拝の侍者に選ばれたドナルドを司祭館へ呼び出し、酒臭い息とともに教室へ帰して寄こしたのだ。シスター・ジェイムズは疑惑をもつことによって神が遠ざかってしまうのを恐れるが、シスター・アロイシアスはこう説く。悪事に立ち向かおうと1歩踏み出せば、神から1歩遠ざかることになる。しかし、それは神のために成す行為なのだ、と。
校長室にフリン神父を呼び、真実を問いただすシスター・アロイシアス。しかし、彼はドナルドがミサ用のワインをこっそり飲み、そのスキャンダルから生徒を守ろうとしたのだと説明する。フリン神父の言葉を信じ、ホッと息をつくシスター・ジェイムズ。一方、シスター・アロイシアスは何の証拠もないまま、欲望に忠実なフリン神父の嘘を強く確信していく。「校長先生はあの人のことが嫌いなだけです」と、シスター・アロイシアスに抗議するシスター・ジェイムズ。シスター・アロイシアスは、ドナルドの母親であるミラー夫人(ヴィオラ・デイヴィス)に会って詳しく事情を聞くことにする。
フリン神父は再び祭服をまとい、大聖堂で説教を行なっていた。それは、ナイフで切り裂いた枕から風に飛ばされていく羽を、噂にたとえた寓話である。説教の真意を尋ねるシスター・ジェイムズに対して、フリン神父は孤独なドナルドを真に守ろうとしているのは自分だと、あらためて主張する。一方、学校に呼び出されたミラー夫人も、息子を見守ってくれているのはフリン神父だと、彼への感謝の気持ちをシスター・アロイシアスに語る。ドナルドとの不適切な関係をほのめかすシスター・アロイシアスに向かって、ミラー夫人は涙を流して激しく抗う。どんなことがあろうと、息子には誰か気にかけてくれる人が必要なのだ、と。
ミラー夫人と別れた後の校長室に、彼女を呼び寄せたことに激昂したフリン神父が入ってくる。自分への根拠のない反対運動は止めるように強く迫るフリン神父。しかし、シスター・アロイシアスは揺るがぬ自信をもって、彼に辞任するよう要求する。ふたりの信念を賭けた闘いは、いま最後の局面を迎えようとしていた――。