SYRIANA
原題:SYRIANA
米国公開:2005年12月09日
日本公開:2006年03月04日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語・ウルドゥー語・アラビア語・ペルシャ語・フランス語・中国語
画面:シネマスコープ・サイズ
音響:SRD・DTS・SDDS
上映時間:128分
配給:ワーナー・ブラザース

【スタッフ】
監督:スティーヴン・ギャガン
脚本:スティーヴン・ギャガン
原作:ロバート・ベア『CIAは何をしていた?』(新潮社刊)
製作総指揮ジョージ・クルーニー
      ベン・コスグローヴ
      ジェフ・スコール
      スティーヴン・ソダーバーグ
製作:ジェニファー・フォックス
   ジョージア・カカンデス
   マイケル・ノジック
撮影ロバート・エルスウィット
美術:ダン・ヴェイル
衣装:ルイーズ・フログリー
編集:ティム・スクワイアズ
音楽アレクサンドル・デスプラ

【キャスト】
ボブ・バーンズ:ジョージ・クルーニー
ブライアン・ウッドマン:マット・デイモン
ベネット・ホリデイ:ジェフリー・ライト
ジミー・ポープ:クリス・クーパー
スタン・ゴフ:ウィリアム・ハート
ワシーム・カーン:マザール・ムニール
ダニー・ドールトン:ティム・ブレイク・ネルソン
ジュリー・ウッドマン:アマンダ・ピート
ディーン・ホワイティング:クリストファー・プラマー
ナシール・アル・スバーイ王子:アレクサンダー・シディグ
フレッド・フランクス:トム・マッカーシー
CIA本部長:ジェイン・アトキンソン
ベネットの父:ウィリアム・C・ミッチェル
シドニー・ヒューイット:ニッキー・ヘンソン
リーランド・ジャヌス:ピーター・ゲレッティ
メシャール・アル・スバーイ王子:アクバール・クルサ
サリーム・アハメド・カーン:シャヒド・アハメド
ムサウィ:マーク・ストロング
ロビー・バーンズ:マックス・ミンゲラ
テリー:ジェイミー・シェリダン
トミー・バートン:ロバート・フォックスワース

【ストーリー】
 イラン、テヘラン。CIAのベテラン工作員ボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)は潜伏活動をしており、2基のミサイルを用意した。1基は思惑通り武器商人の暗殺に使用されたが、もう1基はバーンズの見知らぬ者の手に渡ってしまう。バーンズはワシントンD.C.の本部に呼び戻されるが、現場一筋で来た彼に居場所はなく、息子からも仕事一筋の人生を否定されてしまう。
 同じ頃、中東随一の石油産油国である某国では、アメリカ最大の石油企業コネックス社の油田で、多くの出稼ぎ労働者たちが突然解雇を言い渡されていた。採油権が、中国系企業に渡ったためだった。解雇された者の中にパキスタンから出稼ぎにきた青年ワシーム(マザール・ムニール)と、彼の父親がいた。アラビア語がわからない父親には事態がのみこめない。さらに些細な誤解から父親は兵士に暴行を受ける。支配する者と、支配される者。ワシームの心に疑念が広がっていく。
 コネックス社との契約を打ち切ったのは、ハマド王の長男で、改革派のナシール王子(アレクサンダー・シディグ)だった。コネックス社は新たな利権を求め、ジミー・ポープ(クリス・クーパー)率いる新興石油会社キリーン社との合併に乗り出す。この合併を仕切るのは、ワシントンD.C.の大手法律事務所の弁護士ベネット・ホリデイ(ジェフリー・ライト)。実はベネットは事務所の代表であり政財界に通じる大物ホワイティング(クリストファー・プラマー)から、コネックス社が有利になるようキリーン社の過去の不正を司法局より先に発見するよう指示されていた。ここで有利な条件を引き出せば、ベネットは大出世だ。だが合併に不審を抱いた検事が、ベネットの周囲をかぎまわっていた。
 ジュネーブでは気鋭のエネルギーアナリスト、ブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)が、ハマド王が別荘で催すパーティーに誘われる。息子の誕生日だったブライアンはスペインにある王の別荘へ家族で向かう。そこには中国企業も、ホワイティングらアメリカ企業側も招かれていた。誰もがハマド王の国の石油に群がっている。病気がちなハマド王は近々退位する予定で、王位継承は長男で切れ者のナシール王子が有力視されていたが、ホワイティングらアメリカ勢は、次男のメシャール王子に接近する。優秀な兄の鼻を明かしたいと常々思っているメシャールを操るのは簡単なことだった。
 そのパーティーで不幸な事故が起きる。ブライアンの長男が別荘のプールで感電死してしまったのだ。ナシール王子は責任を感じ、ブライアンを自分のコンサルタントに取り立てる。最初はそれを息子の死に対する侮辱のように感じたブライアンは、本音で王族の経済政策を批判し自国でパイプラインを作れと提案。その率直な意見を王子は受け入れた。同時にブライアンも国の民主化を目指す王子の姿勢に心打たれ、息子を失った心の穴を埋めるべく新しい仕事に熱中していく。だがそれは、妻との溝を深めていくのだった。
 一方、バーンズは再び中東へ派遣される。その任務は米国にとって目の上のこぶであるナシール王子の暗殺。しかし、裏切りにあい囚われの身となってしまう。無事救出されたが、CIAは彼の抹殺を図ろうとする。身の危険を察知したバーンズは、ホワイティングらの陰謀に気づく。
 弁護士のベネットはついに過去の不正を見つけた。だが大型合併を成立させつつ、司法省を納得させるには誰かを生贄に差し出す必要に迫られる。
 病身のハマド王は、次男のメシャール王子を後継者に指名する。進歩的なナシール王子よりも、アメリカの支持を得たほうが王族は安泰と考えたのだ。ナシール王子はこれに反発し、知識層を巻き込み独自の派閥を作っていく。
 その頃イスラム神学校で過激な教義にのめりこむワシームの目の前には、あの失くなったミサイルがあった。
 それぞれ、決断の瞬間が近づいていた―。