
米国公開:2006年10月27日
日本公開:2007年04月28日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語・日本語・スペイン語・アラビア語
画面:ビスタ
音響:ドルビーデジタル
上映時間:143分
映倫:PG-12
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
【スタッフ】
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ脚本:ギジェルモ・アリアガ
原案:ギジェルモ・アリアガ
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
製作:スティーヴ・ゴリン
ジョン・キリク
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
共同製作:アン・ルアーク
撮影:ロドリゴ・プリエト
美術:ブリジット・ブロシュ
衣装:マイケル・ウィルキンソン
編集:ダグラス・クライズ
スティーヴン・ミリオン
キャスティング:フランシーヌ・メイスラー
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
【キャスト】
リチャード・ジョーンズ:ブラッド・ピットスーザン・ジョーンズ:ケイト・ブランシェット
ユセフ:ブブケ・アイト・エル・カイド
アフメッド:サイード・タルカーニ
アブドゥラ:ムスタファ・ラシーディ
アメリア:アドリアナ・バラッザ
サンチャゴ:ガエル・ガルシア・ベルナル
マイク・ジョーンズ:ネイサン・ギャンブル
デビー・ジョーンズ:エル・ファニング
アンワー:モハメド・アクザム
国境検問所の警官:クリフトン・コリンズ・Jr
国境警備隊隊員:マイケル・ペーニャ
ユセフ:ブブケ・アイト・エル・カイド
アブドゥラ:ムスタファ・ラシディ
ハッサン:アブデルカデール・バラ
綿谷安二郎:役所広司
綿谷千恵子:菊地凛子
真宮賢治:二階堂智
千恵子が通う歯科医:小木茂光
日本人の声:ミチ・ヤマト
ミツ:村田裕子
【ストーリー】
始まりは、モロッコの少年が放った、一発の銃弾モロッコの険しい山間の村で暮らすアブドゥラはその朝、知り合いから一艇のライフルを買った。ライフルは2人の息子、アフメッド(サイード・タルカーニ)とユセフ(ブブケ・アイト・エル・カイド)に手渡される。生活の糧であるヤギを襲うジャッカルを撃ち殺すのだ。兄弟には、争いがあった。兄のアフメッドは弟のユセフが姉の裸を覗くのが許せなかった。さらにアフメッドを苛立たせたのは、ユセフの射撃の腕前だった。試し撃ちが全く当たらない兄に代わって、ユセフは眼下の山道を走るバスを狙い、一発の銃弾を放った。
撃たれたのは、見失った絆を探しに来た、アメリカ人夫婦の妻
アメリカ人夫婦はその時、ユセフが狙った観光バスに乗っていた。夫のリチャード(ブラッド・ピット)に誘われて気乗りしない旅にやって来たスーザン(ケイト・ブランシェット)は、揺れる想いを抱えていた。夫婦には、葛藤があった。まだ赤ん坊だった3人目の子供が突然亡くなり、その悲しみと罪悪感に正面から向き合えずにいたのだ。なんとかこの旅で、夫婦の絆を取り戻したい、そう願うリチャードの隣で、スーザンの体に衝撃が走る。銃弾が彼女の鎖骨の上を撃ち抜いたのだ。リチャードは血まみれのスーザンを抱え、医者がいるというガイドの男の村へと走る。
帰れない両親、子供たちは、メキシコ人の乳母の故郷へ
アメリカに残されたリチャードとスーザンの子供たちにも事件の影響が及ぶ。兄のマイク(ネイサン・ギャンブル)と、まだ幼い妹のデビー(エル・ファニング)は、メキシコ人の乳母アメリア(アドリアナ・バラッザ)に連れられ、彼女の甥サンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が運転する車で、メキシコへ向かう。その日は息子の結婚式だと、かねてから子供たちの両親に伝えてあったが、彼らは戻れない。アメリアには、責任があった。知らない人に預けるくらいなら、連れて行くほうが安全だと思ったのだ。初めて見るメキシコの風景に目を丸くする子供たちを優しく見守るアメリア。
銃弾は海を越え、日本に住む会社員へとつながっていく
捜査の結果、モロッコで使われたライフルの書類上の所有者は、日本人の会社員のヤスジロー(役所広司)だと判明する。モロッコにハンティングで訪れた時、ガイドをした男にお礼として譲ったのだ。ヤスジローには心労があった。最近妻が自殺し、そのことで警察による事情聴取を受けていた。さらに、それが原因でたった一人の家族である高校生の娘チエコ(菊地凛子)との心の溝が大きくなりつつあった。聾啞であるチエコは母親の自殺によるショックから立ち直れず、何かにつけて父親に反抗するのだった。誰かに強く抱きしめられることでしか、この寂しさを埋められない。チエコはそう感じていたが、障害を持つ彼女には好意や欲望を伝えるのも簡単なことではなかった。
血を流すモロッコ、暴走するメキシコ、怒りのアメリカ、傷だらけの日本
アメリカのメディアはテロだと騒ぐが、モロッコ警察はライフルの流れを突き止めていた。息子たちに真相を打ち明けられたアブドゥラは、激怒しながらも2人を連れて山へ逃げる。追いかける警察の発砲、思わず迎え撃つユセフ。
息子の結婚式は大成功に終わり、アメリアは再びサンチャゴの運転で子供たちと国境へ向かう。ところが、飲酒運転がバレたサンチャゴは国境を突破、アメリアと子供たちを砂漠に置き去りにして逃走してしまう。翌朝、灼熱の太陽に意識が薄れていくデビー。
政治的な問題のせいで、救助はいつになっても現れない。バスにも置き去りにされ、怒りと絶望の涙を流すリチャード。
チエコは父と話したいという若い刑事(二階堂智)を自宅に呼び出す。好意を伝えるために服を脱ぎ捨て、いつものように拒絶され孤独の縁へと追いやられるチエコ。子供のように泣きじゃくるチエコの肩を、そっと抱きしめる刑事。
撃たれた兄を抱いて泣き叫ぶ父を見て、ライフルを叩き壊すユセフ。
子供たちを置いて、汗と涙に濡れながら助けを求めるアメリア。
衰弱していくスーザンと、子供が死んだ時のことを初めて語り合うリチャード。
見つめたい。抱きしめたい。この想いを伝えたい。
――世界は、ひとつになろうともがき始めていた――