SAVING PRIVATE RYAN
原題:SAVING PRIVATE RYAN
米国公開:1998年07月24日
日本公開:1998年09月26日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語・ドイツ語・フランス語・チェコ語
画面:シネスコ
音響:ドルビーSRD
上映時間:170分
映倫:G
配給:UIP

【スタッフ】
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ロバート・ロダット
   フランク・ダラボン
製作:スティーヴン・スピルバーグ
   イアン・ブライス
   マーク・ゴードン
   ゲイリー・レヴィンソン
共同製作:ボニー・カーティス
     アリソン・リヨン・セーガン
撮影ヤヌス・カミンスキー
美術:トム・サンダース
衣裳:ジョアンナ・ジョンストン
編集:マイケル・カーン
特撮:ILM
特殊効果スーパーバイザー:ニール・コーボールド
音楽:ジョン・ウィリアムズ

【キャスト】
ジョン・H・ミラー大尉:トム・ハンクス
マイケル・ホーヴァス一等軍曹:トム・サイズモア
リチャード・ライベン二等兵:エドワード・バーンズ
ダニエル・ブーン・ジャクソン二等兵:バリー・ペッパー
スタンリー・メリッシュ二等兵:アダム・ゴールドバーグ
エイドリアン・カパーゾ二等兵:ヴィン・ディーゼル
アーウィン・ウェイド衛生兵:ジョヴァンニ・リビシ
ティモシー・E・アパム伍長:ジェレミー・デイビス
ジェームズ・フランシス・ライアン二等兵:マット・デイモン
フレッド・ハミル大尉:テッド・ダンソン
ウォルター・アンダーソン中佐:デニス・ファリーナ
ウィリアム・ヒル軍曹:ポール・ジアマッティ
ジョージ・マーシャル大将:ハーヴ・プレスネル
スチームボート・ウィリー:ジョーグ・スタドラー
フレッド・ヘンダーソン伍長:マックス・マーティーニ
トインビー:ディラン・ブルーノ
トラスク:イアン・ポーター
ライス:ゲリー・セフトン
ブリッグス中尉:ロルフ・サクソン
ジェームズ・フレデリック・ライアン:ネイサン・フィリオン
デウィンド中尉:リーランド・オーサー
空挺兵オリバー:デヴィッド・ヴェーグ
空挺兵マンデルソン:ライアン・ハースト
空挺兵ジョー:ニック・ブルックス
陸軍省付大尉:デヴィッド・ウォール
陸軍省付大佐:デイル・ダイ
I・W・ブライス大佐:ブライアン・クランストン
マーガレット・ライアン:アマンダ・ボクサー
年老いたライアン:ハリソン・ヤング
兵士:アンドリュー・スコット

【ストーリー】
 1944年6月6日早暁。フランス・ノルマンディの海岸で、20世紀の流れを変える史上最大の侵攻作戦が始まった。沖合いの海を埋めつくした英米連合軍の大艦隊。幾千の上陸用舟艇とともに雪崩を打って強襲する若き兵士たち。その中に、ジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)率いる米第2レンジャー大隊C中隊の面々がいた。
 5つの上陸ポイントのうち、ミラーたちがめざしたのはオマハビーチ。しかし、そこにはドイツ軍の未曾有の抵抗が待ち受けていた。後に”ブラッディビーチ”と呼ばれた酸鼻を極めた光景の中で、生死を分けたものは「運」だけだった。
 ミラーたちが橋頭堡を築いて3日目。地獄の戦場をくぐり抜けた彼らに、さらに過酷な任務が待っていた。「1個分隊で戦線を突破。生死不明の落下傘兵を捜せ」。大隊長からの命令は、さすがのミラーもすぐには得心しかねた。
 第101空挺師団所属のジェームズ・ライアン2等兵(マット・デイモン)は、故郷アイオワに母ひとりを残し、3人の兄とともに出陣した。だが兄たちはこの一週間内の戦闘で全員が死亡した。2人がノルマンディの海岸で、1人はニューギニアの戦場で。報告を受けた軍最高首脳マーシャル将軍(ハーヴ・プレスネル)の脳裏をよぎったのは、ガダルカナルで兄弟5人が1度に戦死した「サリヴァンの悲劇」だ。そして、その決断は迅速だった。「残る1人を生きて祖国へ連れ戻せ」。
 命令を受けたミラーに許されたのは、C中隊から選り抜きの兵士たちを作戦に充てることだった。古参軍曹のホーヴァス(トム・サイズモア)は、ミラーの片腕ともいえる存在。口のへらないニューヨーカーのライベン2等兵(エドワード・バーンズ)は厄介者だが、ガッツがある。イタリア系のカパーゾ2等兵は中隊一のタフな奴。そして、ナチス嫌いのユダヤ人、メリッシュ2等兵、聖書の引用がクセの狙撃手ジャクソン、衛生兵のウェイド、語学力が買われた実戦体験ゼロのアパム伍長という顔ぶれだ。
 ミラーの分隊は、101空挺師団が誤降下したと見られる最前線のヌーヴィルをめざした。
 「ひとりを救うのに8人の命を危険にさらすのは道理に合わない」。兵士たちの心に巣食っていた疑問を最初に口にしたのはライベンだった。大規模な戦闘の中でたった1人の兵士を探す。針の山から針を捜すに等しい行為に8人が駆り出された。彼らの疑問は、非常に任務を遂行しようとする隊長ミラーの人となりへも向けられた。
 分隊は銃声が散発的にこだまする廃墟の町へ入った。米軍混成部隊が援軍を待ちながら町を死守していた。悲劇は突然やってきた。一瞬の気の緩みが仇となってカパーゾが撃たれた。姿なき敵の狙撃兵をジャクソンが照準に捉えるまで、分隊は死にゆく仲間を目前に、ただ手をこまねくしかなかった。
 「ライアンなどくそくらえ」。カパーゾの死で分隊は一気に重苦しい空気に包まれた。町の北側には「101」の兵士たちが防御陣地を築いていた。ライアンという名の兵士がいると聞いて色めき立ったが、まったくの別人だった。
 分隊は田園地帯の駅周辺に陣を敷く空挺部隊と遭遇。彼らからライアンに関する手がかりをつかむ。シェルブールを抑えるためのメルデレ川沿いの要衝ラメルの守備に徴発されたようだという。
 ラメルをめざす分隊の前に、避けては通れない敵の機関銃陣地が姿を現わした。激しい戦闘でこれを撃破したものの、衛生兵ウェイドが非業の死を遂げる。捕らえた敵兵を解放したミラーに、やり場のない怒りをぶつけるライベン。隊を離脱しようとする彼にホーヴァスが銃を向けたとき、ミラーが意外な一言を発した。「俺は高校の教師だ」。ミラーは続ける。「ライアンなんて赤の他人だ。彼を捜し出し早く妻の元に帰る――。それが俺の任務だ」。職業軍人ではなかったミラーの人間的背景が、分裂しかけていた隊を再び結束させた。
 そんな分隊とライアンの出逢いが、予期せぬ状況の下で訪れた。敵装甲車との遭遇で立ち往生した分隊の危機を、ライアンを始めとする空挺隊員たちが救ったのだ。感無量でライアンを見つめるミラー。兄たちの死を告げられた時、若者のりりしい頬を涙が伝った。だが、あとの態度は毅然としていた。ドイツ軍の機甲部隊を待ち受ける戦友を見殺しにする形で、ミラーたちと帰ることは出来ないという。ライアンの断固たる決意に説得を諦めたミラーに選択肢は一つしかなかった。共に踏みとどまってドイツ軍と一戦を交えることだ。
 乏しい兵力と装備の中で戦闘準備に入るミラーの分隊。強力なタイガー戦車を押し立てた敵の機甲部隊が目前まで迫っていた――。