THE GRADUATE
原題:THE GRADUATE
米国公開:1967年12月21日
日本公開:1968年06月08日
製作国:アメリカ合衆国
言語:英語
画面:パナビジョン
音響:ドルビーデジタル
上映時間:105分
映倫:G
配給:UA

【スタッフ】
監督:マイク・ニコルズ
脚本:バック・ヘンリー
   カルダー・ウィリンガム
原作:チャールズ・ウェッブ
製作:ローレンス・ターマン
製作総指揮:ジョーゼフ・E・レヴィーン
撮影:ロバート・サーティース
美術:ジョージ・ネルソン
衣装:パトリシア・ジプロッツ
編集:サム・オースティン
録音:ジャック・ソロモン
音楽:ポール・サイモン
   デイヴ・グルーシン

【キャスト】
ベンジャミン・ブラドック:ダスティン・ホフマン
ミセス・ロビンソン:アン・バンクロフト
エレン:キャサリン・ロス
ミスター・ロビンソン:マーレイ・ハミルトン
ミスター・ブラドック:ウィリアム・ダニエルズ
ミセス・ブラドック:エリザベス・ウィルソン
カール:ブライアン・エイヴリー
フロント係:バック・ヘンリー
ミスター・マクガイア:ウォルター・ブルック
ミスター・マックリーリー:ノーマン・フェル
下宿屋の住人:リチャード・ドレイファス

【ストーリー】
 ベンジャミン・ブラドック(ダスティン・ホフマン)は4年間の大学生活に反抗しっぱなしだった。学問でもスポーツでも、彼は賞という賞をかきあつめたが、それがなんのためだったか、今もってさっぱり判らなかった。故郷へ帰る飛行機の中でも将来に対する不安が、彼をいらだたせていた。
 しかし、彼の両親(ウィリアム・ダニエルズ、エリザベス・ウィルソン)は息子が周囲をギャフンと言わせたことを得意に思っている。盛大な卒業祝いのパーティーが開かれ、招かれた人たちは彼を優等生の息子としてもてはやし、口先だけのお世辞を浴びせかけた。
 自分の部屋に逃げ込んだベンを追いかけてきたのは、ロビンソン夫人(アン・バンクロフト)だった。彼女は、強引に家まで送ってほしい、と頼んだ。彼は当惑したが、なにげない風を装い彼女を自動車で送りとどけ、なにげなく彼女の寝室までついていった。彼女は、ドレスを脱いでくつろぎたいから手伝って、と言った。彼女の考えていることは、手にとるように判った。やさしくて優雅で、美しくて人並以上に優れた女性に見えた彼女も、本性は小さな冒険を求めてやまぬ夜行性の食肉動物だった。
 そこへロビンソン氏(マーレイ・ハミルトン)が帰ってきた。”おもしろい”ことになりそうだったのに、そうならずに済んでよかった、とベンジャミンは思ったが、夫人の誘惑は強烈な刺激を彼に与えた。やがてベンジャミンはこの誘惑の香りについて行こうと心を決めた。
 不器用に申し出た最初のランデブー。当世風のホテルでささやかなためらいがあり、やがて2人の恋愛遊戯はおきまりの儀式でクライマックスとなる。ロビンソン夫人(ベンジャミンはいつも慎重にそう呼んでいた)とベンとはいい気分で恋愛ごっこを続けた。そして次第にベンは世間並の落ち着きを身につけて来た。
 2人の情事は、ロビンソン夫人のペースで進められた。
 ベンの両親がすすめたロビンソン家の娘エレン(キャサリン・ロス)との交際が、ウブな青年と経験豊かな人妻との関係を、破滅的な、しかし興味のある方向に駆り立てた。
 ベンとエレンとの交際は始まった。彼女は、明るくて魅力的でベンに似合いの年頃だが、ベンにとって彼女とのデートは、いやな仕事でありお義理であった。一夜、気のない食事の後、彼はむかつくようなストリップ酒場に彼女を引っぱっていった。それは、両親のすすめた娘との交際、すなわち彼が最も反抗的になるもの、世俗風な慣習に対する痛烈な抵抗であり、復讐でもあった。感じやすいエレンは、そのわいせつな裸体のはんらんにいたたまれなくなって逃げ出した。そのときベンはハッと気がついた。この可憐な、心の正しい女は、僕のためにあるのだ。これこそ僕が欲しい、僕が求めていたものだったのだ…。
 しかし、雌トラは巣の中からじっと目を光らせていた。ロビンソン夫人は娘に嫉妬し、ベンに娘とはもう会ってはいけない、と言いわたした。もし娘にこれ以上近づいたら、自分との醜関係をバラすと言う。
 しかし、その脅迫も、ベンを受け身の恋から情熱に駆り立てるきっかけとなっただけであった。エレンとの若者らしいデートが続いたが、ついにロビンソン夫人の捨て身の妨害にあってエレンはショックを受け、学校へ戻って行った。
 彼はエレンを追って、彼女が通っているバークレーの大学に行った。そこで彼は、カール(ブライアン・エイヴリー)という青年と会い、エレンをカールと結婚させようとしているロビンソン夫妻の裏切りを知った。彼は怒り、取り乱した。
 エレンは彼に打ち明けた。母が”すべて”を話してくれました。あなたが母に言い寄って、母を犯したのだ。ということも……。
 そこへロビンソン氏も現れ、ベンとの情事のため妻に対し離婚訴訟を起こしたと、すっかりうろたえた調子。ぼくのほしいのは、あなたの娘さんであって奥さんじゃない、とベンジャミンはいったが、父親をさらに怒らせるだけだった。
 ロビンソン夫妻の希望通りに事が運んで、とうとうエレンとカールの結婚式があげられた。しかしその儀式がクライマックスに達したとき、ベンが飛びこんできた。両親や牧師や友人たちを押しのけて、彼は式場から花嫁を盗み出し、通りかかったバスに飛び乗った。バスは永遠なる結婚の幸福へと走り去っていった……。