AMISTAD
原題:AMISTAD
米国公開:1997年12月17日
日本公開:1998年02月28日
製作国:アメリカ
言語:英語
画面:シネマスコープ
音響:DTS,SRD,SDDS:SR
上映時間:155分
提供:ドリームワークス
配給:UIP

【スタッフ】
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:デイヴィッド・H・フランゾーニ
製作総指揮:ウォルター・F・パークス
   ローリー・マクドナルド
製作:スティーヴン・スピルバーグ
   デビー・アレン
   コリン・ウィルソン
撮影ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン
衣裳:ルース・E・カーター
音楽:ジョン・ウィリアムズ
プロダクション・デザイナー:リック・カーター
写真:アンドリュー・クーパー

【キャスト】
シンケ:ジャイモン・フンスー
セオドア・ジョッドソン:モーガン・フリーマン
マーティン・ヴァン・ビューレン:ナイジェル・ホーソーン
ジョン・クィンシー・アダムズ:アンソニー・ホプキンス
ロジャー・ボールドウィン:マシュー・マコノヒー
ホラバード:ピート・ポスルスウェイト
ルイス・タパン:ステラン・スカルスガルド
ジョン・フォーサイス:デヴィッド・ペイマー
イザベラ女王:アンナ・パキン
コヴィ:キウェテル・イジョフォー
ルイス:ジーノ・シルヴァ
モンテス:ジョン・オーティス
ジャドソン判事:アラン・リッチ
代理人:ポール・ギルフォイル
フィッツジェラルド艦長:ピーター・ファース
コグリン判事:ジェレミー・ノーサム
ハモンド:ザンダー・バークレー
カルデロン大使:トーマス・ミリアン
ジョン・C・カルフーン議員:アーリス・ハワード
ゲドニー大尉:ラルフ・ブラウン
ミード大尉:ダーレン・バロウズ
宣教師:ケヴィン・J・オコナー

【ストーリー】
 19世紀半ば。アフリカの大地で、ライオンを倒した一人の男がいた。漆黒の肌を持つ、24歳の長身の男シンケ(ジャイモン・フンスー)。彼は、その時英雄になった。
 しかし、まもなく、シンケは拉致され、奴隷船”テコラ号”でハバナへ運ばれた。そこで、スペイン人のルイズとモンテスに買われ、今、53人の仲間とともに鎖に繋がれ、プエルト・プリンシペ行きの”アミスタッド号”に乗せられていた。長い航海で目にしてきたのは、飢え、殴打、虐殺。白人が自分たちアフリカ人に課したいわれなき暴力の数々。港を出て3日。船は、キューバ沖で荒れ狂う嵐に翻弄されていた。その船底で、シンケはついに首の鉄枷をはずすことに成功する。鎖から放たれ、武器を手にしたアフリカ人たちは、甲板に躍り上がり、自分たちを苦しめてきた乗組員を次々に惨殺していった。
 船を乗っ取って2か月後、シンケたちがたどり着いた陸地は、故郷ではなく、白人の世界アメリカだった。舵取り役として生かしておいたルイズ(ジーノ・シルバ)とモンテス(ジョン・オーティス)に騙されたのだ。シンケと生き残った仲間39人はコネチカット州ニューヘブンで投獄され、やがて、海賊行為と謀殺の容疑で裁判にかけられた。しかし、その裁判に次々に横槍が入った。まず、スペイン女王(アンナ・パキン)が、スペイン船籍の”アミスタッド号”の積み荷である以上、シンケたちはスペインのものだと返還を要求した。また、ルイズとモンテスは、当然、自分たちが買った奴隷だと言い、船をだ捕したアメリカ軍将校は、謝礼としての所有権を主張した。一方、シンケたちの苦境を救おうとする者も現れた。富豪であり、奴隷解放論者のタパン(ステラン・スカルスガルド)と、タパンの資本で新聞を発行するジョッドソン(モーガン・フリーマン)だ。彼自身、黒い肌の持ち主だった。二人は、元大統領で、今も政界に影響力を持つジョン・クインシー・アダムズ(アンソニー・ホプキンス)に助力を求めた。しかし、老いた元大統領は、力を貸してはくれなかった。しかたなく、タパンとジョッドソンは、法廷で出会った若い弁護士ボールドウィン(マシュー・マコノヒー)を訪ねてみる。鼻っ柱の強い不遜な奴。だが、この若者には、裁判に勝つことへの強い意志が感じられた。二人はボールドウィンを雇った。
 裁判が再開された。被告席にはシンケたちが並ぶ。検事ホラバード(ピート・ポスルスウェイト)は、船から押収した武器を殺人の証拠として突きつけた。ボールドウィンの論点はただ一つ。シンケたちがどこで生まれたのか、という点だった。法律では、奴隷の子として生まれた者のみ、売買が許される。しかし、もし、彼らがアフリカで生まれたことが証明できれば、彼らは奴隷ではなく、非合法に拉致された被害者であり、船での殺戮行為が不問となる。ボールドウィンは、ルイズたちが船に隠しておいた積荷目録を見つけ出し、翌日の法廷に提出した。それは、ポルトガル船”テコラ号”が、奴隷所有の禁止されている英国領・西アフリカで、シンケたちを不法に売買した動かぬ証拠だった。
 様々な圧力の下、現職大統領ヴァン・ビューレン(ナイジェル・ホーソーン)も、いよいよ黙ってはいられなくなってきた。黒人を有罪にできなければ、奴隷解放論者とみなされ、目前に迫った大統領選挙で大票田である南部州の支持を得られなくなる。大統領は、この裁判に、自分の息のかかった新しい判事を送り込んだ。八方塞がりになったジョッドソンは、再びアダムズ元大統領を訪ねる。アダムズは「彼らが誰なのかを知れ」と言った。その日から、ジョッドソンとボールドウィンは、必死になってアフリカの言葉を話せる人間を探し歩いた。そして、ついに、アフリカ生まれの若い英国軍人コヴィ(キウェテル・イジョフォー)を見つけ出す。通訳を得て、二人は39人の黒人がここに至るまでの、悲惨な航海の日々を知る。ボールドウィンはまた、シンケの知性に驚き、彼の強い望郷の念に胸を打たれていく。
 被告席のシンケにとって、長く、理解しがたい審理が続いた。「GIVE US FREE(俺たちに自由を!)」。それは、シンケが初めて口にした、覚えたての英語であり、心の奥底から発せられた悲痛な叫びだった。数日後、法廷に渦巻く野次と怒号の中で、判事は39人の被告に無罪を言い渡した。シンケたちは、かがり火を焚き、歌を歌って、勝ち取った自由を祝った。だが、喜びの時は短かった。ヴァン・ビューレン大統領が判決を不服として、最高裁判所へ上告したのだ。もはや、事態は、ボールドウィンの手に負えなくなっていた。そんなある日、シンケを訪ねたボールドウィンの背後から、耳慣れない老人の声がした。ふり向くとそこには、元大統領ジョン・クインシー・アダムズが立っていた……。