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製作年:2007年
日本公開:2007年07月07日
製作国:日本
言語:日本語
画面:ビスタサイズ
音響:ドルビーSR
上映時間:112分
配給:ファントム・フィルム
製作プロダクション:モンスター・フィルムス
製作協力:リクリ

【スタッフ】
監督:吉田大八
脚本:吉田大八
プロデューサー:柿本秀二
        小西啓介
        鈴木ゆたか
協力プロデューサー:吉田博昭
          遠藤日登思
アシスタントプロデューサー:澤岳司
原作:本谷有希子「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(講談社刊)
撮影:阿藤正一
   尾澤篤史
照明:藤井隆二
録音:矢野正人
美術:原田恭明
スタイリスト:藤井牧子
ヘアメイク:佐藤光栄

音楽プロデューサー:日下好明
音楽:鈴木惣一朗
音楽制作:プランクトン

編集:岡田久美
ビジュアルエフェクト:大西博之
漫画:呪みちる

助監督:芹澤康久
スクリプター:長坂由起子
キャスティング:梁川こうこ
ラインプロデューサー:加藤賢治

撮影助手:小出博隆
撮影技術:千葉清美
Bカメラ撮影技術:新部信行
撮影技術アシスタント:薦田哲
           吉田貴彦

照明助手:岩下和裕
加持通明:尾関郷
小西章永:横山淳
照明助手応援:鎌田繁
東洋照明:柳田雅博

録音助手:加来昭彦
     石寺健一
     下田義広
録音助手応援:中里崇
       原川慎平

装飾:赤塚明
装飾助手:奥利暁
     門倉淳
小道具:山内栄子
美術助手:鈴木絢子
スタイリスト助手:岡田梢
ヘアメイク助手:近藤志保

方言指導:七尾市民劇団N
     中谷日出子
スチール:佐藤芳夫
     佐藤慎太郎
メイキング:井上雅貴
      井上智博
アクションコーディネーター:山田一善
スタント:花田奈美

整音助手:今泉武
     岩名路彦
光学リーレコ:上田太士
音響効果:柴崎憲治
音響効果助手:中村翼
編集助手:小林あい
HDオンライン:山崎義成
HDカラコレ:鳥海重幸
HDリアルタイムレコーディング:稲垣知康
タイミング:上野芳弘
テクニカルアドバイザー:高野光啓
ポストプロダクションコーディネーター:酒井教援
VFXスーパーバイザー:北田匡史
デジタルコンポジット:笠原由紀
           佐々木弥生
           佐藤理恵
           田中勉
           内海大輔
           田口久豊
デジタルエフェクトアシスタント:西川拓伸
                坂本由紀夫

宣伝美術:関口修男
宣伝美術スチール:高柳悟

助監督:甲斐聖太郎
    山本優子
制作主任:野崎竜一
制作進行:竹上俊一
     平林勉
制作進行応援:矢野秀和
       西野壮治
       佐藤豪飛
現地車輌:四柳哲雄
     宮崎行伸
     松木俊彦
製作経理:佐々木美和

主題歌:「世界が終わる夜に」
    作詞:福岡晃子
    作曲:橋本絵莉子
唄・演奏:チャットモンチー(キューンレコード)

【キャスト】
和合澄伽:佐藤江梨子
和合清深:佐津川愛美
和合宍道:永瀬正敏
和合待子:永作博美

和合曾太郎:上田耕一
萩原(文具屋の男):山本浩司
小森哲生:土佐信道(明和電気)
神野(東京から来た借金取)谷川昭一朗
審査員(女性):吉本菜穂子
審査員(男性):湯澤幸一郎
オーディションの相手役:ノゾエ征爾
田嶋(澄伽の芸能プロのマネージャー):米村亮太朗

大原真理子
高橋睦美
金沢まこと
大川婦久美
羽鳥義人
白田宏美
塚林芳江
西田徳子
東知英
大塚奈々子
永井先子
山本恵美子
伊藤弘子
吉岡東和
山口清常
岩本勇
茂野光郎

【ストーリー】
 北陸の山間部。うだるような夏の暑さに閉じ込められた集落、とある日。
 和合曽太郎とその妻加津子が、不慮の交通事故死を遂げた。
 その葬式の日、女優を目指して上京していた長女・澄伽が4年ぶりにふらりと舞い戻った。迎える和合家は、後妻である加津子の連れ子で長男(兄)の宍道、その妻・待子、次女(妹)・清深。女王のごとく傲慢に振る舞いだした姉の、とりわけ妹に対する怒りは普通ではなかった。清深も、そしてなぜか異常に澄伽に気を遣う宍道も、それを甘んじて受け入れている。人の好い待子だけは、そのことを不思議に思っていた。
 それは4年前。女優を目指すための上京を反対された澄伽は、激しい口論のあげく逆上し、父親の曽太郎をナイフで切りつけようとして、止めに入った兄の額に消えない傷跡を作った。それでも諦め切れなかった澄伽は、上京資金を作るためにクラスメート相手の売春を始める。そんな姉の姿を間近で見ていた清深は、沸きあがる創作の衝動を抑えきれず、姉の痴態の一部始終を漫画に描いて投稿する。ところがなんとそれが新人賞受賞作としてホラー漫画雑誌に大々的に掲載されてしまった。村の人々に家族のそして自分自身の恥が暴かれ、結果的に澄伽は逃げるように上京することとなったのだ。
「あんたが変な漫画描いてあたしをさらし者にしたせいで、演技に集中できなくなったのよ。あんたのせいよ」
 度重なる自己中心的な態度と外部からの苦情により、所属事務所から電話で解雇通告された澄伽はなお、「周りが自分の特別さに気付かない」と勘違いする。仕送りをしてもらえないことで兄を責めながらも、女優へのきっかけを掴むために、最近注目を集めている新進映画監督・小森哲生に手紙を書く。それに思いがけず返事が来て、文通が始まる。
 三十路を過ぎた待子は、結婚相談所の紹介で宍道のもとに嫁いできた。孤児として育った待子にとって、和合家はやっと手に入れた「家族」であった。それなのに、夫はまだ一度も妻を抱こうとはしない。不満も愛情も口に出すことが許されず、待子は澄伽が帰ってきてから以前に増して乱暴になる宍道との生活に耐えていた。
 宍道は清深の漫画によって、村中の好奇の視線にさらされ精神のバランスを失いかけていた澄伽を慰めるうち、いつのまにか彼女と体の交わりを持ち、その時の成り行きで「一生澄伽以外を必要としない」という誓いを立てる。そしてその関係は、4年後の今も続いていた。
 しかし、そんな和合家の出口のない日々にも転機が訪れた。小森から来た手紙の返事に、次回作のヒロインとして澄伽を起用したいと書いてあったのだ。有頂天となった澄伽は、清深に「恩赦」を与えた。今までのことは忘れる、あんたを許すと。そのことを聞いて喜ぶ宍道。これでやっと、普通の家族として出直せる・・・。
 一方、宍道は珍しく待子を相手に酒を飲むうち、妻に強引に迫られ、肉体関係を持ってしまう。それに気付いた澄伽は、再び兄に脅しをかける。
「あたしのことを必要としてるのは、お兄ちゃんのほうでしょう?」
 兄を求める澄伽、されるがままの宍道。それを障子の隙間から目撃していた清深は、宍道と目を合わせてしまう。
 家族の板挟みとなり、絶望の淵に沈んだ宍道は仕事に没頭し、抜け殻のようになっていく。そしてある日、仕事場で不慮の死を遂げる。
 宍道の四十九日が終わる頃には、村もすっかり秋景色になっていた。最近めっきり途絶えた小森からの手紙を待ちわびて苛立つ澄伽と、それをなだめる待子の前に、荷物をまとめた清深が現れる。手にしているのは、例のホラー漫画雑誌の最新号。清深の名前。・・・グランプリ、賞金百万円。
「あたし、東京で漫画家になるから」
 妹は再び、姉を題材に漫画を描いたのだった。澄伽は激怒して清深を突き飛ばし、怒号を浴びせる。
しかし、清深がしでかした事件にはまだ続きがあった。
「やっぱお姉ちゃんは、最高に面白いよ。」
 なにものかになろうとして、なにものにもなれない・・・和合家の物語は新たなる幕を明けようとしていた。