英題:HALF A CHANCE
製作年:1998年
日本公開:1998年11月07日
製作国:フランス
言語:フランス語
画面:シネマスコープ
音響:ドルビーステレオ
上映時間:109分
配給:シネマパリジャン
【スタッフ】
監督:パトリス・ルコント製作:クリスチャン・フェシュネール
製作総指揮:エルヴェ・トリュフォー
原案:ブルーノ・タルドン
脚本:パトリック・ドゥヴォルフ
セルジュ・フリードマン
パトリス・ルコント
撮影:スティーヴン・B・ポスター
音楽:アレクサンドル・デスプラ
【キャスト】
レオ・ブラサックジャン=ポール・ベルモンドジュリアン・ヴィニャル:アラン・ドロン
アリス・トマゾ:ヴァネッサ・パラディ
キャレル:エリック・デュフォス
レインコートの男:アレクサンドル・ヤコヴレフ
アナトーリ・シャルコフ:ヴァレリ・ガタエフ
ルドワイヤン:ミシェル・オーモン
ヴァリノ弁護士:ジャック・ロマン
刑務所の判事:フィリップ・マニャン
キャレラの助手:オリヴィエ・パランティ
マリリン:ムベンボ
ナイトクラブのチンピラ:ギヨーム・ラヌー
バカ野郎:アルノー・シュラン
アンジェル・ヴァルガス:ルイス・ジャイム=コルテス
シャルコフの息子:ヴラディスラス・デュポール
パパニエフスキー:ヴィタリ・ニキーティン
グールグーノフ:バタ
プロラーズ氏:ポール・ポッジ
もぐりの自動車修理工:ボビー・パッシャ
”エルミタージュ”の給仕長:サンドリーヌ・カロン
たばこ屋の経営者:ヴェロニック・ユベール
ヴィデオマトンの男:ヴァンサン・ロジェ
覆面をしたオートバイの男:ニキータ・クルーグリー
ガソリンスタンドのロシア人:アレクサンドル・ヴィクーロフ
ガソリンスタンドの給油係:デュフ
巡査部長:ダニエル・ミヨ
インテリア・デザイナー:マリー・ネプラーズ
カジノの警備員:フィリップ・ヴュー
空港の航空会社職員:パオラ・サポーヌ
DJ:ヴァンサン・スカリート
パコ:ヴァンサン・スキメンティ
チンピラ:パスカル・プレポ
ジュリエット・トマゾの声:シルヴィー・グラノティエ
【ストーリー】
アリス(ヴァネッサ・パラディ)は20歳。高級車窃盗常習犯。ベンツ、ジャガー、BMW、ポルシェ……彼女の手にかかれば、どんな車でもわずか5秒で盗んでしまう。その罪を償うために8年間の服役を終え、彼女は今まさに出所しようとしているところだった。彼女は判事から一つの小さなサック(鞄)を渡される。その中には、彼女が服役中に急死した母親ジュリエットの遺言を録音したカセット・テープが入っていた。刑務所の外へ出て、バスが来るのを待つ間、アリスはヘッドフォンを耳に当てて、懐かしい母の声の響きに聞き入った。「アリス、ママはあなたに大切なことを言わなければならないの。20年前、ママは二人の男性を同時に愛したの。そのどちらかが、あなたの本当のパパよ」 もう、アリスは居ても立っても居られなかった。次の瞬間には傍に駐車してあった高級車を拝借し、アリスはまずレオのもとへと向かった。
レオ・ブラサック(ジャン=ポール・ベルモンド)は中古高級車の販売と修理を請け負うガレージのオーナーになっていた。レオはその昔、外人部隊の最前線で数々の名誉ある功績を残した軍人だった。客のフリをしてレオに近づいたアリスは、自分のことを正直に打ち明ける。彼は母親のことは憶えているが、自分は彼女にふられて逆に失意の底に追いやられたんだと言う。
今度は高級レストランに姿を現したアリス。ここは二番目の父親候補ジュリアン・ヴィニャル(アラン・ドロン)の店だった。彼は表向きこそ名の知れたレストランのオーナーだが、実の姿は現役の大手銀行を狙う大泥棒である。レオの時と同様に自分の出生の秘密を切り出すアリス。ジュリアンはかつて自分が愛した女に子供がいたことなど知らなかったという。しかし単身乗り込んできた自分の娘かも知れないアリスを、自宅へと連れて帰るのだった。
父親候補の二人を見つけたアリスは、レオとジュリアンに母親のテープを聞かせるため、営業前の街のディスコに呼びつける。そしてレオとジュリアンはアリスの言葉に嘘はないと理解は示すが、結局週末明けのDNA鑑定で決着をつけることにするのだった。
同じ頃、パリの一画ではロシア・マフィアとコロンビアのマフィアがドラッグの取引きを行っていた。そしてその中には囮捜査を行っている刑事キャレラ(エリック・デフォス)とピーンボール(オリヴィエ・パランティ)の姿もあった。今まさに取引きを行おうとしたその瞬間、2台のバイクが現れ、その場にいた人々に向けてマシンガンを乱射させていった。血の海と化した現状から二人はやっとのことで逃げ出す。しかし、この乱射劇もキャレラたちの動向を察した上での仕組まれたものだった。
アリスはレオのガレージにやってきていた。彼女が車好きであったため、二人の関係が良好なものへと変化していく。しかし、同時にジュリアンにも父親の意識が目覚め始め、そんなふたりに焼きもちを焼いていた。アリスはアリスでそんな父親候補のふたりを微笑ましく見つけていたのだ。そして彼女も今まで味わうことのなかった暖かい家庭の雰囲気を彼らに見い出し始めていた。
夜、アリスがひとりでディスコにやってきた。ひと目でヤクザ者と思える男たちが彼女に目をつけていた。トイレの中で周囲を男たちに囲まれてしまったアリスは、すんでのところで難を逃れ、何とか外へと逃げ出すことができた。しかし男たちは諦めずに外まで追ってくる。近くのガソリンスタンドまで辿り着いたアリスは、またしても給油中だったプジョーを拝借し、命からがらジュリアンの家まで逃げ帰ってくる。しかし、その車には先のドラッグ取引きの大金が隠されていた……。
ジュリアンの家の前に置かれたプジョーに、ロシア・マフィアが気づかないわけはなかった。彼らは大金がジュリアンのもとに隠されていると勘ぐり、電話で揺さぶりをかけてくる。大事をとってアリスはレオの家へ。その間も、ジュリアンの自家用ヘリコプターや建物の一部が容赦なく破壊される。しかしプジョーの中からは現金は発見できなかった。それもそのはず、このドサクサに紛れて、キャレラが現金を持ち去っていたのだ。
続いてマフィアの怒りの鉾先は、レオへと向けられていた。ジュリアンは大急ぎでレオの家へと急行する。しかしレオの高価なクラシック・カーのコレクションは一台ずつ破壊され、使用人は見るも無残な姿に変わり果てていた。
こうして三人の復讐ゲームの幕が切って落とされた。ロシア・マフィアのドン、アナトーリ(ヴァレリ・ガタエフ)の誕生日パーティーに姿を現したジュリアンとレオは、アリスがロシア語で歌う”ハッピー・バースデイ”に喜色満面のアナトーリの背後に銃を突きつけ、リモコンのボタンを押させる。すると、パーティー会場はもちろん、アナトーリの武器庫や開店間近のカジノまでが続けざまに大爆発。あたかも花火のように、夜空を赤く染めあげた。
一方、キャレラはアリスに接近し、二人は愛を交すが、彼が刑事であることを悟ったアリスは、相次ぐマフィアの流血事件を丸く収めるために、キャレラの上司ルドワイヤン(ミシェル・オーモン)がジュリアンとレオの隠れ家をロシア・マフィアに教えたことを聞かされる。動転したアリスはキャレラに向けて銃を放つや、二人の隠れ家に急行する。ところが逆に、レインコートの男にアリスは囚われてしまった。
果たしてジュリアンとレオは、娘への愛、そして男の誇りと意地を賭けて、ロシア・マフィアの本拠地に殴り込みをかける。それは二人にとって、現役最後の”戦い”になるはずだった……。