日本公開:1997年12月20日
製作国:イギリス
言語:英語
画面:シネスコ
音響:ドルビーSR
上映時間:107分
配給:シネカノン
スタッフ
監督:マーク・ハーマン脚本:マーク・ハーマン
製作:スティーヴ・アボット
撮影:アンディ・コリンズ
編集:マイケル・エリス・エース
美術:ドン・テイラー
衣装:エイミー・ロバーツ
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
演奏:グライムソープ・コリエリー・バンド
キャスト
ダニー:ピート・ポスルスウェイトアンディ:ユアン・マクレガー
グロリア:タラ・フィッツジェラルド
フィル:スティーブン・トンプキンソン
ハリー:ジム・カーター
サンドラ:メラニー・ヒル
ベラ:スー・ジョンストン
ジム:フィリップ・ジャクソン
アイダ:メアリー・ヒーリー
受賞歴
1997年ベルリン国際映画祭正式出品作品1997年サンダンス・フィルム・フェスティバル オープニング招待作品
1997年東京国際映画祭審査員特別賞受賞
ストーリー
1992年、イギリス。石炭需要低下によって、鉱山閉鎖の波が炭坑の街に押し寄せていた。イングランド北部ヨークシャ地方の、炭坑を生活の基盤とする小さな街、グリムリーも例外ではなかった。街には炭坑閉鎖反対を訴える垂幕やプラカードが立ち並び、緊迫した状況が続いていた。グリムリー・コリアリー・バンド、それは炭坑で働く男たちで結成された百年の伝統を持つブラスバンドだ。職業バンドではない彼らは、メンバーのカンパとコンテストの賞金でなんとかやりくりしていた。リーダーで指揮者のダニー(ピート・ポスルスウェイト)はバンドに全情熱を注ぎ、音楽こそが人々に希望をもたらし生きる活力を与えてくれるものだと信じて全英選手権優勝を目指している。しかしメンバーの多くは、ダニーの気持ちを知ってはいても失業の不安に怯え、なかなか練習に身が入らない。バンドから抜けることを考えている者までいる有様だった。そんな時、生れ故郷のグリムリーに戻ってきたグロリア(タラ・フィッツジェラルド)がバンドの練習場に楽器持参で現れる。彼女はダニーの親友の孫娘で、メンバーの若者アンディ(ユアン・マクレガー)が14才の頃に恋心を抱いていた人でもあった。グロリアと共演することで彼女の音楽的才能と若い女性の魅力に参ってしまったメンバーたちは、がぜんやる気を取り戻し、美しいメロディーを奏で始める。かくしてグロリアはバンドの一員となり、一人の脱退者も出すことなく全英選手権出場を目指した。しかし炭坑閉鎖はより現実的に進み、彼らの生活も楽ではない。ダニーの息子でトロンボーン奏者のフィル(スティーブン・トンプキンソン)は84年の大規模ストに加わったせいで、今もその頃の借金に追われている。しかも選手権出場の資金集めのために参加したコンテストで、バンドは惨敗してしまう。ダニーは焦りを感じ、メンバー達は悪化する閉鎖問題に、炭坑が終わればバンドも終わりだと感じていた。一方、グロリアの正体がアンディに知られるが、二人の中は親密になってゆく。しかしそれが他のメンバーにも明らかになるとグロリアはメンバーとうまくいかなくなり、アンディとの仲もぎくしゃくし始めた。
ハリファックスで全英選手権の準決勝が行われた日は、炭坑存続をめぐる投票の開票日でもあった。バンドが準決勝に勝利を収めて帰ってくると、グリムリーは今までの閉鎖騒ぎが嘘のように静まり返っていた。炭坑閉鎖、労働者の解雇が決まったのだ。しかも以前から抱えていた肺の病気が悪化したダニーが倒れ、入院してしまう。また、フィルは妻と4人の子供たちに去られ、失意のどん底に陥る。仕事を失い、家族に逃げられ、音楽すらも失いかけたフィルは自殺を図った。危うく一命はとりとめたが、メンバーの胸には様々な思いが去来する。そこへ自ら仕事を辞めたグロリアが、全英選手権出場に必要な3000ポンドをバンドにカンパする。彼らは再び立ち上がり、ダニーのため、そしてすべての炭坑夫のために全英選手権が行われるロンドンに向かった。
決勝当日、ロイヤル・アルバートホールには大勢の観客が詰め掛けていた。その中にはフィルの妻と子供たちの姿もあった。彼らの演奏が始まった。途中、病院を抜け出したダニーが姿を現すと、ダニーの思いが、そして街の人々の気持ちがメンバーに乗り移ったかのように演奏が研ぎ澄まされ、力強いものになっていった。坑夫たちの怒りと希望を物語るような『ウィリアム・テル序曲』が、場内に響きわたり……。
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